Men's Fashion

シャネルの時計はデザイン最優先 「J12」男性が支持

トピック

シャネル パリ 時計・宝飾部門社長 F・グランジェ氏に聞く

2019.10.26

東京のベイエリアにあるイベントホール「B&C HALL」(東京・品川)でマドモアゼル・シャネルの創造性に光をあてた展覧会「マドモアゼル プリヴェ」が開かれた。革新的なデザインで時代の地平を開いたシャネルのオートクチュール(高級注文服)と希少なハイジュエリーを身近に体験できる催しとなり多くの来場者の関心を集めた。近年、洋服だけでなく時計・宝飾品でも存在感を示しているシャネルの戦略について、シャネル パリ 時計・宝飾部門社長、フレデリック・グランジェ氏に聞いた。




■複雑な機構を前面に持ってくる時計業界とは正反対

――「マドモアゼル プリヴェ」の内装はシャネルが住んでいたアパルトマンの部屋をイメージしたとのこと。伝説的なダイヤモンドコレクション「ビジュー ド ディアマン」の復刻版も紹介されています。

趣向を凝らした展覧会「マドモアゼル プリヴェ」ではオートクチュールとハイジュエリーのクリエーションを紹介した

「この展覧会ではきちんと伝えていきたい3つの要素があります。クリエーション、オートクチュール、ハイジュエリーです。『ビジュー ド ディアマン』のオリジナルはもともと1932年に発表されました。閉鎖的で男性的であったジュエラーの世界に、初の女性婦人服デザイナーとして挑戦し、女性が自由に動けるよう留め具を取り払ったデザインで革命を起こしました。ダイヤのヘッドピースには750時間が費やされたといいます」

「シャネルの時計が成功したのは何よりデザインを優先したからです」と話すフレデリック・グランジェ時計・宝飾部門社長

「ジュエリーの中でもっとも力強く伸びているのはハイジュエリーです。自由な発想で制限なくシャネルのクリエーションを表現できる、もっとも高額で希少なものです。また2015年に発売した新しいコレクション、キルティングをモチーフにした『ココ クラッシュ』もジュエリーの柱として確実に成長しています」

――シャネルの時計は基本的に女性用ですが、なかでも存在感を増しているのが「J12」です。トゥールビヨンや自社製ムーブメントの搭載モデルも出し、ファッションアイテムにとどまらない印象です。

「目先、シャネルの時計・宝飾品事業でとても重要なイベントは、2020年にJ12が発売20周年を迎えることです。20年には記念モデルを4つ出します。セラミックのオールブラック時計であるJ12は2000年代を代表するアイコンウオッチとなり、このほど38ミリの新たなバージョンに刷新しました。原型を崩さず細部を変え自社製機械式ムーブメントを搭載しました。シースルーバックにしたのは美しいムーブメントを披露するため。デザインに特化した機構であるということです。リニューアル後もさらにラインアップを広げていきます」