こんにちは。法政大学キャリアデザイン学部でキャリア論を教えている田中研之輔です。今回のテーマは、理系の就活です。
これから就職活動を始めるみんなは、新卒一括採用から通年採用への大きな歴史的変化に直面します。これは理系も無関係ではありません。企業も研究所の見学会を実施したり、学内で出前授業を展開したり、プログラミングコンテストを開いたり、様々な方法で早期に接触を図ろうとしています。
引く手あまたに見える理系就活の実情は…
研究室の中からは、就職活動を取り巻く全体の動きはみえにくいかもしれません。そこで理系学生の就活を取り巻く状況について、まず最初に次の3点を共通理解として押さえておきます。
(1)人工知能(AI)やIoTなど、急速にテクノロジカルイノベーションが進む中、理工系人材が圧倒的に不足している。
(2)理工系学部での専門的な学びと社会が求める最先端のニーズとがズレている。
(3)研究室での実験や研究が忙しく、長期インターンなどでビジネス経験を積むのが難しい。(特に、大学院に進学した理系院生は、「研究が忙しすぎて、就活ができない」という悩みを抱えている)
(2)理工系学部での専門的な学びと社会が求める最先端のニーズとがズレている。
(3)研究室での実験や研究が忙しく、長期インターンなどでビジネス経験を積むのが難しい。(特に、大学院に進学した理系院生は、「研究が忙しすぎて、就活ができない」という悩みを抱えている)
概略すると、理系学生の採用ニーズは高まっている。みんなは社会的に必要とされている。けれども、大学での学びは閉鎖的なところがあり、学びの内容が社会的に求められていることと一致しているとは限らないというのが、理系学生が就活前に直面するミスマッチの実情なのです。
だからこそ、理系学生の先輩たちは、「研究室推薦やOB・OGの紹介」で内定先を決めてきたのです。業界・業種を問わず、数十社にエントリーする文系学生の就活とは、全く異なっていますね。
研究室推薦やOB・OG紹介での内定の全てを否定するわけではありません。就活に時間をとられるより、内定先をすぐに決めて、研究に従事するのは、大学生の本来の姿でもあります。
ただ、その半面で、次のような実態があります。「推薦で就活がなんとかなる」ため、そもそも就職の準備や対策をしない。研究室推薦やOB・OGに紹介されたごく限られた選択肢の中から選んでいる。