繰り返すバブル 長期投資なら混乱と無縁(澤上篤人)さわかみ投信会長

日経マネー

写真はイメージ=123RF
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マイナス利回りの債券が世界中で増加している。その残高は16兆ドルを超え、17兆ドルに迫っているとのこと。ドイツ国債や日本国債をはじめ、利回りがマイナスでも構わず買おうとする投資家たちが、1800兆円もの資金を振り向けているわけだ。これはとんでもない異常事態だよ。今回はこのあたりを草刈と語り合ってみよう。

歴史は繰り返す、バブルを生むバブル

澤上篤人(以下、澤上) バブルには、2つのタイプがある。一つは、オランダのチューリップ投機に代表されるバブルで、思惑が思惑を呼んで価格が急騰する。大儲けできそうだと、皆が期待して買い群がって、バブルになっていくわけだ。

投機熱が燃え上がっている時は、チューリップの球根一つが一軒の家と同じ価格まで買い上げられた。バブルがはじけ、投機の熱が冷めると「どうして、あんな高値にまで買い上がったのか」と、皆が不思議がる。こういったバブルはいつも一過性で終わる。

草刈貴弘(以下、草刈) 冷静になれば分かるような気もするのですが、熱狂している時は一種の催眠状態に陥っているのでしょうね。ふと我に返ると、なぜ球根に熱中したのか自分でも分からない。こういったところはギャンブルに通じるところがあります。

澤上篤人氏(撮影:竹井俊晴)

澤上 そうなんだろうね。もう一つのバブルは、過剰流動性がもたらすもの。こちらは、景気回復や大きな経済的困難を克服しようと、国や中央銀行が金融緩和と金利引き下げを実施した時に発生しやすい。大量にばらまかれた資金がホットマネー化して、まずは値上がりしそうなものが食いちらかされるように買われていく。やがてホットマネーの向かう先は、大きな資金を受け入れられる株式や不動産に絞り込まれていく。

こちらのバブルは、大きなうねりのようになって時代を超えて繰り返す可能性が高い。現在進行形のバブルの遠因も過去にある。

草刈 バブルが次のバブルの種をつくっているかのようですよね。歴史を振り返って見てもそうです。今のマイナス金利(債券価格の高騰)という異常事態は、リーマン・ショックの後始末のため、日米欧の中央銀行が金融緩和で経済を支え続けている結果として生じているものです。そのリーマン・ショックの原因であったサブプライムローン問題は、米国の住宅価格上昇で発生した不動産投機と、それに乗った金融機関のモラルハザードが原因。ただ、それもITバブルの崩壊と同時多発テロで沈んだ経済を浮揚させるために金融を緩和したことが誘因です。

そのITバブルも、アジア通貨危機とロシアのデフォルトでLTCM(※)が破綻したことの影響を和らげるために金利を引き下げたことが始まり。

※LTCM:ロングターム・キャピタル・マネジメント。ノーベル賞受賞学者を擁した米著名ヘッジファンドで1998年に破綻

アジア通貨危機は、プラザ合意によるドル高是正の結果、日本を中心に世界中の企業が製造拠点を賃金の安いアジアへ移したことに遠因があり、また、プラザ合意は日本の平成バブルも生み出しました。問題が起きて対応した結果、副作用としてバブルが生じ、そしてはじけ、さらにその対応をするということが繰り返されてきたわけです。まさに歴史は繰り返すです。

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