ゴルフTDI 満を持してディーゼル、高速で本領発揮

2019/11/3
今回の試乗では、高速道路を主体に240kmほどの道のりを走行。燃費は満タン法で21.1km/リッター、車載の燃費計で23.5km/リッターを記録した

実用への志が感じられる

試乗したのは、上級グレードのTDIハイライン マイスター。スターターを押してエンジンをかけると、車外では明らかにディーゼルとわかる音が響くが、ひとたびクルマのなかに入ってしまえば、さほど気にならない。

わずか1750rpmで3リッターエンジン並みの太いトルクを発生するディーゼルターボだが、スペックとは裏腹に、走りは地味で実用寄り。街なかではタコメーターの針がなかなか2000を超えない。実際、1500rpmも回っていれば実用には十分。ゆるゆると走っていても、7スピードのトランスミッションが次々とギアをパスして上げていく。

2リッターのクリーンディーゼルエンジン。1750rpmから340N・mの大トルクを発生する

黙々と働くディーゼルゴルフが最も本領発揮するのが、高速道路を使っての長距離移動である。7速ギアを使っての100km/h巡航では、エンジン回転数は1500rpm程度にすぎない。エンジンは軽くハミングしているだけ。それでいて、ひとたびスロットルペダルを踏み込めば、間髪入れずに力強く速度を上げる。いかにも頼りがいのあるジャーマンハッチだ。

ゴルフTDIに乗っていまさらながら感心したのは、ツインクラッチ式の2ペダルMTたるDSGのシフトプログラムがよく練られていること。オートマチックモードのスムーズさはもとより、控えめに生えるパドルを使って手動でシフトダウンした後の、ATへの復帰タイミングが絶妙だ。ドライバーがいまスポーティーに走りたいのか、カーブ手前で一時的にギアを落としただけなのかを上手に判断しているようで、そのさりげなさは拍手もの。熟成が進んだモデル末期のありがたさ、といったら褒め過ぎか。

“能あるタカ”のTDI

17インチを履きこなした足まわりのマナーもいい。しっかりしたボディーと併せ、乗り心地のよさが、安心感に結びつく。

ステアリングホイールを握って走ってみると、意外なほどおとなしい印象のゴルフTDIだが、一方、スロットルペダルをフラットアウトさせて全力加速を敢行すると、わかりやすくホイールスピンさせてから、勢いよく前方に突っ込んでいく。ギアの守備範囲は、ローで約45km/h、セカンドで約70km/hだから、思いのほか“速いギア”が切られている。「やるときゃあ、ヤル」のだけれど、普段は前述の通り。あらためて「通常はずいぶんと燃費寄りのプログラムが走っているのだなァ」と実感させられる。

ボディーカラーは、「オリックスホワイト マザーオブパールエフェクト」と呼ばれる白(写真)を含む計6色がラインナップされている

ゴルフTDIハイライン マイスターのカタログ燃費は、18.9km/リッター(WLTCモード)。今回、東京~河口湖間の往復をメインに243.4km走って、車載コンピューターの燃費値は23.5km/リッターだった。ちなみに、WLTCモードの“高速道路モード”でのカタログ値は、22.2km/リッターである。

わが国のフォルクスワーゲンユーザーは、いわば輸入車業界のサイレントマジョリティーだ。先般の、専門知識を悪用したディーゼル不正事件には心底驚き、心を痛めたが(含む自分)、それだけでフォルクスワーゲンから離れた人は少ないという。そんなロイヤルティーの高いフォルクスワーゲンユーザーのなかでも、モデル末期のディーゼルゴルフを購入するような層は、本当のファンといえよう。彼らはゴルフTDIの輸入開始にあたって、「カモがネギを背負ってやってきた」と浮かれることはないけれど、自分たちがネギを背負ったカモだと少しでも感じたなら、今度こそ静かにワーゲンから去っていくはずだ。

(ライター 青木禎之)

■テスト車のデータ
フォルクスワーゲン・ゴルフTDIハイライン マイスター
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4265×1800×1480mm
ホイールベース:2635mm
車重:1430kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:150PS(110kW)/3500-4000rpm
最大トルク:340N・m(34.7kgf・m)/1750-3000rpm
タイヤ:(前)225/45R17 91W/(後)225/45R17 91W(ブリヂストン・トランザT001)
燃費:18.9km/リッター(WLTCモード)
価格:391万円/テスト車=409万7000円(消費税10%を含む)
オプション装備:ボディーカラー<オリックスホワイト マザーオブパールエフェクト>(6万6000円)/プレミアムサウンドシステム“DYNAUDIO”(7万7000円) ※以下、販売店オプション フロアマット<プレミアムクリーン>(4万4000円)

[webCG 2019年10月17日の記事を再構成]

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