社員をワクワクさせるのが仕事 「失敗しても見守る」壱番屋社長 葛原守氏(下)

壱番屋の葛原守社長
壱番屋の葛原守社長

「ココイチ」の愛称で知られる「カレーハウスCoCo壱番屋」は2020年、カレーの本場インドに進出する。挑戦的な取り組みと思えるが運営会社、壱番屋の葛原守社長(52)は「受け入れてもらえる」と自信を見せる。前向きな姿勢の背景には、若かりし日、仕事での失敗を上司に寛大な心で見守ってもらった経験がある。今後は社内でも「失敗を恐れずチャレンジしていく人材を育てたい」と考えている。

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――中国を皮切りに、積極的に海外展開してきました。

「中国本土の次が台湾で、中国でつくった店舗仕様を展開しました。カフェっぽく、女性向けの店というイメージでアジアに広げました。アジア各国の所得水準はぐっと上がりました。最初のコンセプトは『デートで使えるお店』だったのですが、今では中学生が親にお小遣いをもらって友達同士で食べに来るようなカジュアルな感じになっています。20年に出店予定しているインドでは、まさしく我々が04年に進出した当時の中国のような店舗になると思います。ちょっとおしゃれな店です。現地の女性が『日本のカレーってどうなんだろうね』と、ワクワクして来てくれる店を目指します」

■インドでも「日本のカレー」貫き挑戦

――カレーの本場、インドでの勝算は。

「タイに出店したときも、タイカレーがあるから難しいという声が多かったです。でも、現地のお客様は『タイカレーとは別物。日本のカレーもおいしいよね』と、女性を中心に来店してくれました。今は二十数店舗あります。インドでもそういう感覚で、現地の人に使ってもらえるかなと思っています。インドカレーをやろうというのではなく、日本で生まれたカレーライスを展開するだけですから。似たようなスパイスを使っていますが、全く別の料理として受け入れてもらえると期待しています」

「インドでは三井物産と一緒に取り組みます。当社は以前からインド進出を考えていました。一方、三井物産ではインド法人で新規事業について検討した際、ココイチをインドに持ってくるという案が出たそうです。日本に研修に来たインド人社員がココイチに来店してくれたことから思いついたということで、当社に提案をいただきました。当社もインドは自分たちだけではハードルが高いと感じていたので、非常にありがたいことだと、インド進出を決めました」

――ハードルが高いというのは。

「インドは独特の商習慣があります。またカースト制度も一部で残っていたり、政治・行政の制度が日本と大きく違ったりします。なので、共同出資ですが、会社の運営管理は三井物産にお任せして、私たちは店のオペレーションやデザイン、メニューなどに特化して、互いの強みを出していきます」

「浜島俊哉前社長のときから、インドでやりたいという話があって、私も定点観測として何年かに1度、インドを視察してきました。7~8年前は『出店できるショッピングモールも少なくて、まだ難しい』となりました。でも昨年、インドを訪れると、非常に経済発展していて、ショッピングモールも最新型です。物流などインフラもずいぶん整っていて、『いける』と感じました。来年春くらいには開店できるでしょうか。日本と違って、店舗の引き渡しなども契約日通りにとはいかないこともありますから、はっきり言えませんが」

海外展開、できるだけ現地に任せたい

――海外での従業員との接し方は日本と違いますか。

「私が直接、海外事業の責任者として手がけたのは中国だけです。その経験を、他の国・地域を担当している駐在員に伝えていますが、基本的には彼らのやり方でやってもらっています。でも、中国本土や台湾、韓国、インド、日本と、どこであろうと、基本は一緒だと思います。国民性より、個々人の考えの違いの方が大きいと考えているので、あまり国や地域の違いは気にしません」

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