大定番でオフもOK 10年着られる英国コート3選
この冬注目のオンオフ兼用アウター
そろそろ本格的なアウターが欲しくなる季節。コストパフォーマンスも考慮するなら、オンオフ問わず着られるものが望ましい。そこで、今年注目のオンオフ兼用アウターを、タイプ別に3回にわたって紹介する。
今回取り上げるのは、2019年の注目スタイルであるブリティッシュ・トラッド(ブリトラ)のコートだ。現代的なアレンジは加えられているが、英国の定番ブランドらしく、基本は長い伝統を持つ正統派デザイン。流行に左右されることなく向こう10年は着られるモデルばかりなので、長い目で見ればコストパフォーマンスは非常に高いといえる。
防水・保温性に優れたワックスドコットン使用/バブアー
「ここ数年のファッショントレンドであるクラシック回帰のひとつに、ブリトラがある」と話すのは、八木通商のPRマネージャー大畑広志氏。「英国由来のチェック柄や素材を用いたウエアの人気は、秋冬に顕著。ただし、英国の生地や仕立てというよりは雰囲気的なところを指していて、19年のアウターはややゆったりとした『抜け感』のあるものに注目が集まっている」という。そんな抜け感とクラシカルな雰囲気をあわせ持つ、英国の定番ブランドのひとつがバブアーだ。
今回紹介するアウターは、ブランド125周年を記念したアニバーサリーモデルで、創業間もない1910年に登場した初期モデル「ヘイドン ジャケット」を現代的にアレンジしたもの。ベルト仕様のチンストラップをはじめ、フラップポケットの上に施したファスナーや、ドレスゴードンと呼ばれるチェック柄のライニングなどが付け加えられている。
生地は、バブアー伝統のワックスドコットン。コットンにワックスを染み込ませることで、防水性と保温性を高めた同ブランドの代名詞的ファブリックだ。このアウターは8オンスと地厚な生地を使っているため重厚感があり、トラディショナルな雰囲気を一層高めている。
9月下旬の発売以降、30~40代の男性に支持され、店頭では売れ行き好調だという。
人気キルティングジャケットのロング丈/ラベンハム
ブリティッシュメイドのプレス椿望美氏もここ数年、秋冬シーズンのブリトラへの関心の高さを実感しているという。その理由について「最近、消費行動も多様化して、上質なものを長く愛用するという価値観も広がっています。そこで長く使うことを前提にしたものづくりがされてきた英国モノに引かれる方が増えているのでしょう」。
「ウィッカム」はブリティッシュメイドが、キルティングジャケットで有名なラベンハムに別注したモデル。ラベンハムのメンズアウターのなかでは珍しいロング丈で、ジャケットやカジュアルシャツの裾まで覆うため、オンオフ問わず着用できる。
生地には、はっ水加工されたリップストップコットンを採用し、強度を高めている。さらにウールの中綿を、保温性・消臭性の高いドイツ産の「ラバラン」にすることで、着たときの暖かさもパワーアップしているという。それでいて、自宅で手洗い洗濯が可能なイージーケアという点も見逃せない。
コーデュロイの襟や裾のパイピングなど、ひと目でラベンハムだとわかるディテールは健在。「10月に入り、本格的にアウターを探す方が増えてきており、売り上げは好調に推移している」(椿氏)。今ではビジネスコートの定番となったキルティングジャケット。そのなかでも人と違ったものを求める人から支持されているという。
透湿・防水性に優れたステンカラー/トラディショナル ウェザーウェア
英国の老舗ブランドであるマッキントッシュ社のカジュアルブランドがトラディショナル ウェザーウェア。このステンカラーコートは「ストームシール」シリーズとして展開されており、マッキントッシュの代名詞である2枚の生地の間に天然ゴムを溶かして塗る「ゴム引きコート」のディテールを踏襲しながら、モダンな装いに仕上げているのが特徴だ。
シルエットはドロップショルダーのオーバーサイズ。素材には特殊なフィルムをボンディングした、透湿防水性と防風性を備えた3層構造のマテリアルを使用している。袖口と裾にはサテンテープを熱圧着し、素材の強度を高めているのも特徴。ビッグシルエットで袖が長いため、袖を折り返すことでデザインのアクセントとしても機能する。
縫製部分には水の浸入を防ぐシームテープが施されているなど、マッキントッシュ社の伝統である防水性の高さを体感できる上に、着脱可能なライナーを搭載しており、防寒性にも優れる。
「ストームシール」は昨シーズンに登場し、非常に好評を得たという人気シリーズ。本作は発売されたばかりだが、「ショップでの人気は高い」(トラディショナル ウェザーウェアを扱う八木通商の大畑氏)。
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。