2019/10/25

価値観を仮定めして自分をテストマーケティングしよう

最初に必要なのは、自分は何が好きで、何が嫌いかという価値観を過去の行動から探ることです。多くの人は、自己分析を就職活動や転職の時に面接官にアピールする材料として表面的に終わらせてしまっていますが、本来は面接官のためではなく、自分のためにも定期的に、徹底的に行う必要があるのです。自己分析をしっかり終わらせずに人生をやり過ごすと、毎回同じピンチに直面したり、本当に必要な学びを無視して別な勉強に時間を費やしたりして学びを成果につなげるのが難しくなるからです。

ではどうすれば良いか。外に目を向けて比べて焦るのをいったんやめ、自分の中にある資産を見つめていくことを提案します。具体的には保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校……と、区切りごとに「3大うれしかったこと」「3大悲しかったこと」を書き出し、どうしてうれしかったのか? どうして悲しかったのか? を書き出すと効果的です。過去を振り返り、寝食を忘れて没頭して遊んだ原体験や、昔からどんなことに憤りを感じていたかを思い出してみましょう。

まずは徹底的に自分の棚卸しをする

徹底的に自分の棚卸しをすすめると、「私は人や物や事をつなげるのが好きなんだな」「ナンバーワンになるというより、ナンバーワンの人を陰で支える参謀役だと能力を発揮しやすいな」「商人というより職人気質だな」「チームプレーよりも一人で黙々と目標達成するのが好きなんだな」といったように、自分のキャリアや好きの方向性が見えてきます。ここまでは自分の「キャリアの方向性」の仮説です。まだ仮説段階なので、いきなりそのキャリアや好きの方向性に転職や異動をしようと動くのはおすすめしません。まずはキャリアの方向性を今の環境を使って小さく試していきましょう。

上記の例でいうと、今の会社の中で「参謀気質」「何かをつなげる」「職人が生きる」「一人で黙々」というキーワードを生かした仕事の仕方ができないかを、今の環境のまま試してみましょう。会社で見つからない場合は所属する会社以外のコミュニティーや、仕事で培った知識を無償で提供する「プロボノ」活動などで、自分の「新キャラ」として試してみるのもおすすめです。会社・会社以外で見つからない場合はブログやSNSで発信していくことも良いでしょう。

これが「自分をテストマーケティング」するということです。自分の軸の方向性を仮定めして、小さく試して、調整するというやり方で、自分の「好き」や自分が大切にしている価値観が世の中に通用するのか、やっていて楽しいかを実験していきます。

もはや10年後に今勤めている会社が「何屋」をしているか分からない今の時代、「完璧な準備ができてから」と一生懸命スキルアップして、準備万全で行動を起こすのはナンセンスです。不安でも、未熟でも、未完成でも、まずは仮決めしてチャレンジしていくやり方を、会社という環境にいるうちに試してみましょう。

自分自身の価値という「値付け」は、原価がもともと分かる商品の値付けとは違うため難しいということは前回も述べましたが、今回紹介した5つのステップを踏み小さなチャレンジを繰り返すことにより、ホワイトカラーの仕事に従事しているとなかなか気付かない「労働の対価がいくらか、会社にどのくらいの価値を提供できているか」というコスト感覚や、「世の中に求められているのは自分のどの能力か」というマーケティング感覚が磨かれます。

誰しも、自分の好きなこと、得意なことで感謝されるのはうれしいものです。小さく試すことで小さな成功体験を積み上げることができれば、仕事に対するやりがいも見つけやすくなりますし、創意工夫の余地も生まれます。これを繰り返すことにより信頼が徐々に積み上がり、結果的に稼げるような自分になっていくことでしょう。

まずは5つのステップの全体像を理解し、第1ステップの「自分の強みや軸を棚卸しする」ところから始めてみましょう。あなたのチャレンジを応援しています。

池田千恵
朝6時 代表取締役。朝イチ業務改善コンサルタント。慶応義塾大学卒業。外食企業、外資系企業を経て現職。企業の朝イチ仕事改善、生産性向上の仕組みを構築しているほか、個人に向けては朝活でキャリア迷子から抜け出すためのコミュニティー「朝キャリ」(https://ikedachie.com/course/salon/)を主宰。10年連続プロデュースの「朝活手帳」など著書多数。