風邪に抗菌薬は必要なし あなたの処方は大丈夫?

日経トレンディ

同じ薬が高齢者ではリスクに

高齢者が若い頃と同じ感覚で薬を飲み続けるのは危険。写真はイメージ=PIXTA

抗菌薬のような間違った処方でなくても、見直した方がいいケースもある。特に高齢者は年齢とともに体の生理機能が低下する。加齢により代謝や薬物動態が大きく変わるため、同じ処方でも副作用が大きなデメリットになる場合もある。若い頃と同じ感覚で薬を飲み続けるのは非常に危険だ。

高齢者が特に注意したいのが、「抗コリン作用」を持つ成分。「総合感冒薬」や「抗アレルギー薬」「抗うつ薬」「抗不整脈」など、比較的高い頻度で処方される医薬品に含まれる成分の一つで、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑制させる。喉の乾きや便秘、尿閉などの副作用が知られており、実際に「風邪を引いて総合感冒薬を飲んだら尿が出なくなったというケースは多い」(北氏)。

【アレルギー性鼻炎 セレスタミンなど】
→「長期間の服用は注意」
耳鼻科などで比較的よく処方される「セレスタミン」や「エンペラシン」。症状が重い花粉症などでも効果があるといわれるが、これらはアレルギーを抑える抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン)と炎症を抑えるステロイド(ベタメタゾン)の合剤。ステロイドを長期間内服すると、糖尿病や骨粗しょう症、中心性肥満などのリスクが高まる。「長期服用を突然やめることで、副腎不全になる危険も指摘されている。あくまで症状がひどいときのピンポイント使用と考えたい」(青島氏)。
【糖尿病 オイグルコン、ダオニールなど】
→「低血糖になる恐れ」
「オイグルコン」や「ダオニール」など、膵臓(すいぞう)でインスリン分泌に関わるβ細胞に直接働き掛けるスルホニル尿素剤(SU剤)は、経口血糖降下薬のなかでも血糖値を下げる効果が特に高い。そのため、「SU剤の服用で低血糖になってしまい、救急搬送されるケースは意外と多い」(富家氏)。基準よりやや高めでSU剤を飲む人は、特に低血糖に注意しなければならない。糖尿病学会は、「高齢者では血糖降下薬の投与と経過観察を慎重に行うべき」としている。
【重度認知症 アリセプト】
→「継続投与のメリットが少ない」
「アリセプト」などのコリンエステラーゼ阻害薬は認知症薬として認可されているが、認知症を治すものではなく、認知機能が落ち込むのを一時的に抑えることを目的としている。「その効果は限定的で添付文書にも記載されている通り、認知症の病態そのものを改善するという成績は実は得られていない」(青島氏)。フランスでは18年に医療保険の対象から外された。ただ、薬そのものが介護者の“心のお守り”となっていることもあるので、中止することがデメリットになるケースもある。
【逆流性食道炎 PPI、H2ブロッカー】
→「徐々に減量していくことが望ましい」
逆流性食道炎を改善する薬として使われるPPI(プロトンポンプ阻害薬)とH2ブロッカー。どちらも長期に服用することのリスクが報告されている。PPIの場合は、低カルシウム血症などによる不整脈、心血管疾患や胃酸分泌抑制による肺炎など。「急に薬を中断するとリバウンドによる胃酸過多になる人も多いので、徐々に量を減らしていくことが望ましい」(北氏)。市販薬のH2ブロッカーも、長期間服用は避けるべき。「ただし安易に中断して胃潰瘍を起すこともあり、リスク評価を入念にした上で減らすことが大切」(北氏)。
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