どこでもオフィスが休日奪う メール・会議で心身不調産業医・精神科専門医 植田尚樹氏

写真はイメージ=PIXTA
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社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室代表の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

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デジタル化が進んだことで、いつでもどこでも仕事ができる環境が整ってきました。ビジネスパーソンにとっては便利な半面、時間や場所を問わず、仕事に追い立てられるようにもなりました。ストレスからメンタルヘルスの不調を訴える例も増えてきました。このため、フランスなど海外では、勤務時間外や休日の業務連絡を拒否できる「つながらない権利」を法律で認める動きが進んでいます。

インターネットの発達やスマートフォンの普及などで、メールにとどまらず、対面で会話ができる「スカイプ」などのネット電話、チャット、SNS(交流サイト)などがコミュニケーションツールとして広く利用されるようになりました。リアルタイムで連絡を取れるため、即座の反応が当たり前かのような風潮もみうけられます。ビジネスシーンともなると、そのストレスは一段と大きく、働き手にとって負担になっています。

1時間おきに履歴をチェック

不動産管理会社に勤める20歳代男性の事例です。

仕事柄、担当する物件で水漏れや電気設備の故障、ひびが割れなどがあると急に連絡が入ることがあるといいます。物件のオーナーから直接電話が来ることもあります。幾つもの物件を所有するオーナーですと、対応を誤れば、ほかの管理会社に乗り換えられる恐れもあります。そう思うと「電話やメールに反応しないわけにはいかない」といいます。

仕事の連絡があるかと思うと、就業時間外であっても気を抜くことができません。休日や就業時間外に携帯電話が鳴ったり、メールの着信音がしたりすると、その音に反応してしまうので、なかなか休むことができないといいます。週末に旅行などの計画を立てても、常に携帯電話やメールを気にしなくてはならず、1時間おきに履歴をチェックする習慣がついてしまい、休んだ気がしないというのです。

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