退職時に残る住宅ローン 借り換え・繰り上げ早めに退職マネー学(下)

秋の週末の夕刻。筧家のダイニングでは仕事から帰宅した幸子がお茶を飲んで一息ついています。幸子はこの日、近くの市民センターで開かれた無料の家計相談会の相談員を務めました。ソファでテレビを見ていた恵と良男もテーブルにつきます。

筧(かけい)家の家族構成
筧幸子(48)良男の妻。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。
筧良男(52)機械メーカー勤務。家計や資産運用は基本的に妻任せ。
筧恵(25)娘。旅行会社に勤める社会人3年目。
筧満(15)息子。投資を勉強しながらジュニアNISAで運用中。

良男 お疲れさま。家計相談会はうまくいった?

幸子 ええ。相談は1人30分だったけど、やはり時間内には終わらないものね。相談会の後、参加したファイナンシャルプランナー(FP)3人で話をしたら、住宅ローンの相談が多かったといってたわ。60歳の定年を迎えてもローン残高が1000万円近く残ってしまうが、どうしたらいいのかって。

 住宅ローンは定年までに完済したいよね。でも今は金利も低いし、80歳ぐらいまで借りられるらしいね。

幸子 国土交通省によると、新築戸建てや分譲マンションを購入した人の毎月のローン返済額は約10万円、返済期間は約33年ね。30代半ばで購入すると、70歳近くまで返済が続く計算よ。でも、かつては40代、50代で何回か一部繰り上げ返済をして、60歳前に完済するのが一般的だったのだけど……。

良男 繰り上げ返済が計画通りにいかない人が多いの?

幸子 この10年ぐらい会社員の手取り収入が減っているのよ。社会保険料が増えたり配偶者控除の見直しなどで所得税や住民税の負担が増したりしてるでしょ。世帯年収500万円の会社員(4人家族)で実質可処分所得が30万円以上減ったという試算もあるわ。繰り上げ返済が進まない一因だと思う。

 じゃあ定年退職するときにローンが1000万円残っていたらどうしたらいいの?