ドライアイがうつリスク招く? 角膜と視機能守るケア

「開けていづらい、かすむ、痛い」は危険信号

ドライアイで障害リスクが高まっている大切な角膜。目の健康を支えている角膜について、もう少し詳しく知っておこう。

「角膜は、厚さ0.5ミリメートル。目を守る壁であり、光をとりいれる透明な窓であるとともに、水晶体の2倍の屈折力を発揮するレンズとしての機能も持つ。だから、角膜に傷がついてその透明性が失われると、曇りガラスのように視覚に障害が起こってしまう」と、順天堂大学医学部附属静岡病院眼科の土至田宏先任准教授は説明する。

また、角膜には神経が密に発達しており、張り巡らされた終点は角膜の表面にまで到達している。「その証拠に、ゴミが少しでも入ったら強烈に痛み、すぐに目をつぶる。おそらく体の中で触れられて一番痛い場所が角膜で、そうやって角膜の感覚を鋭敏にすることによって人は生存のために重要な“見る”という機能を守ってきたのだろう」(土至田先任准教授)。

角膜は表側から順に、上皮、実質、内皮と重なり、その境目がボーマン膜とデスメ膜という、5層構造をしている。

<角膜は5層>

<角膜上皮>皮膚を持たない角膜の最も外側で、バリアとして、また、レンズとしても働く。<角膜実質>角膜全層の90%を占め、透明なコラーゲンが均一に平行に走り、角膜を強化する壁の役割を果たす。<角膜内皮>目の内側の水分が適切に角膜に補われるようポンプのように働き、コントロールしている。<ボーマン膜・デスメ膜>角膜上皮、角膜実質、角膜内皮を仕切る役割をする強靱な膜。

「角膜上皮は細胞の増殖スピードが早いのが特徴。少し傷がついても、正常な角膜であれば数時間から数日でそれを塞ごうと細胞が周囲から移動してくると同時に、新しい細胞が生まれ、古い細胞は表面から脱落していく、というターンオーバー力を持っている」(土至田先任准教授)。

ところが、ドライアイになると角膜の正常な新陳代謝が行われなくなってしまう。

「患者さんと接していると、目が乾く、というよりも、目を開けているのがつらい、目が痛い、かすんで見える、などの自覚症状を感じて受診する人が多い。痛みや違和感という角膜が発する合図にしっかり気づくことが大切」(土至田先任准教授)。

最後に、大切な角膜を守るために気を付けたい最低限の注意点を2つ挙げる。

土至田先任准教授からはIT作業時の注意、堀教授からはハードコンタクトや定期交換タイプのソフトコンタクトを使う人への注意をそれぞれ1点ずつ。もちろん、これ以外にも取り入れたい点眼薬の選び方や生活習慣といったケアがあるので、詳しくは別稿でお伝えする。

<まとめ>医師がすすめる目の健康を守る基本ケア

「パソコン作業やスマートフォンの長時間使用時は、まばたき回数が減り、まばたきも浅くなる。まばたきをすることで目の表面に涙が行き渡るので、目薬のほか、意識してしっかりと目を閉じるまばたきもしてほしい」(土至田先任准教授)

「角膜感染症を起こした患者さんのコンタクトレンズケースは雑菌繁殖の温床になっている。ケースはこまめに洗って清潔に保つこと」(堀教授)

(ライター 柳本操、イラスト 三弓素青)

堀裕一教授
東邦大学医学部眼科学講座・東邦大学医療センター大森病院診療部長

大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、米国ハーバード大学スケペンス眼研究所にて眼表面におけるムチン発現についての研究を行う。東邦大学医療センター佐倉病院などを経て2014年より現職。角膜疾患やドライアイ、角膜移植、オキュラーサーフェス(角結膜上皮と涙液)を専門に研究を行う。
土至田宏先任准教授
順天堂大学医学部附属静岡病院眼科

聖マリアンナ医科大学卒業、順天堂大学大学院修了。ルイジアナ州立大学留学を経て2014年より現職。ドライアイを中心とした角結膜疾患の発症機序を自律神経や生理活性物質などの生理学的側面から解明。動物モデルを使い、涙液やムチン分泌、角結膜上皮の創傷治癒効果などを検証している。
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