ツイッター、松本人志の存在感増す 橋本環奈も台頭
タレント「SNSパワー」ランキング 2019
ツイッターは今なお、インスタグラムやフェイスブックを上回るユーザー数を誇っている。日本国内の月間アクティブ利用者数は4500万人以上いる(2018年10月現在)。19年6月末時点でのタレント・著名人のフォロワー数をランキングにしたのが表だ。1位は712万6449人のフォロワーを抱える有吉弘行。669万6869人がフォローする松本人志がこれを追う。女性で最もフォロワー数が多いのは、全体3位のきゃりーぱみゅぱみゅで、524万8664人だった。
ランキング入りした30人は、男性17人に対して女性13人。トップ30のうち、女性が23人を占めるインスタグラムのような男女差はない。10位の堀江貴文や23位の糸井重里、28位の橋下徹といった、発言力のある著名人がランクインするのが、ツイッターらしい特徴と言えるだろう。
日経エンタテインメント!では、18年3月末にも同様の調査を行ったが、実はその直後にあたる18年5月から、ツイッター社はスパムやフェイクアカウント、ボットなどの排除を行っている。会話を阻害する悪意のある行為を減らし、健全性を高めるための作業だった。これにより、一時的に多くのタレントがフォロワー数を大きく減らしている。だが、有吉は18年3月時点の約710万を超えるまでに数字を回復。松本人志に至っては、18年3月時点から、なんと100万近いフォロワーを新規獲得している。
19位の指原莉乃も、18年3月末の調査から、新たに約42.5万のフォロワーを増やした。指原は、その発言がニュースをにぎわせた人物だ。特に18年12月、NGT48の暴行事件に始まった一連の騒動では、ツイッターでも率直な発言を展開した。19年3月の運営側の記者会見中には、リアルタイムでツイートを連投。そのツイートの内容について記者が質問をするなど、存在感を印象づけた。
今回は、7位のZOZO元社長の前澤友作、27位の米津玄師、28位の橋下徹、29位の橋本環奈の4人が新たにトップ30入りを果たした。以前から「フォロワー数を増やして影響力を持ちたい」と公言していた前澤は、19年1月5日に「お年玉プレゼント企画」をツイッターに投稿。100万円を100人にプレゼントするという内容で、条件は前澤のアカウントのフォローと該当ツイートのリツイートのみ。数多のユーザーがこれに殺到した。前澤の18年10月時点のフォロワー数は50万未満だったが、ピーク時には約610万にまで増えた。
指原や前澤のケースのように、19年の上半期、ツイッターは発信の場としての影響力の大きさを、改めて世に知らしめたと言えるだろう。
リアクションを増やす3つの力
1投稿あたりの「リツイート」+「いいね」+「コメント」のリアクション総数を調べて、1投稿あたりの平均数をランキングにしたのが「平均リアクション数」ランキングだ。これは、ツイッターの特徴でもある拡散力を見るためのもの。なかでも拡散力に影響するのが「リツイート」機能だ。リツイートとは、投稿を自分のフォロワーと共有したい場合に使う機能で、誰かの投稿をリツイートすれば、自分のフォロワー全員のタイムラインにもそれが現れる。さらに、フォロワーの誰かが再びリツイートすれば、その投稿はより多くの人の目に触れ…という具合に広がっていく。
平均リアクション数1位は、フォロワー数ランキングで2位だった松本人志。フォロワー数とリアクション数の両輪でツイッター上での影響力を発揮していることがうかがえる。2位には米津玄師、3位には橋本環奈が続く。
ランクインしたタレントの投稿を見ると、リアクションが集まるツイートには大きく3つのタイプがあることが見て取れる。発信者の「共感力」と「コミュ力」、さらにはファンの「熱狂度」だ。
「共感力」の高さの例が、1位の松本。リアクション数の中でも「いいね」が多く、約15万のリアクションのうち14万近くを占める。例えば、19年4月30日の平成最後の日に投稿した「昭和は子供で過ごし 平成は子供と過ごし 令和はどう過ごそうかねー。」のツイートに対しては、28.4万の「いいね」が付いた。強い発言ではなく、程よいゆるさのある短文が松本のスタイルだ。ちなみに今回の調査期間外ではあるが、7月20日には、当日行われた宮迫博之と田村亮の謝罪会見を受けて、「後輩芸人達は不安よな。松本 動きます。」と投稿。普段、柔らかい言葉で伝える彼が、強い意思表示をしたことで、37万3000回以上のリツイート、174万3000以上の「いいね」、約3万7000のコメントが付いている(以上、各投稿のリアクション数は、8月25日時点)。
「コミュ力」が光るのは、3位の橋本環奈。11位だった前回調査のリアクション数ランキングから、大きく8ランクアップした。橋本の利用方法で多く見られる1つが、自身の出演作の公式アカウントや共演俳優の投稿に対し、コメントを付けてリツイートするというもの。ときにはツッコミを入れ、ときには共演者とリツイートの応酬で会話を繰り広げ、見ているフォロワーを楽しませようという意識が感じられる。SNS上のトレンドにも敏感に反応し、ファンとの共通の話題に乗っていく。最近では、写真・動画共有アプリ「スナップチャット」で見た目や年齢を変えて加工できるフィルターが流行った際に、自身も画像を加工して投稿した。時折、コメントに寄せられたファンの質問に答えたりして、「ちゃんと返信を読んでいる」こともアピールする。
一方、「ファンの熱狂度」を感じるのは、香取慎吾と草彅剛、稲垣吾郎の「新しい地図」の3人だ。リアクション数ランキングに、そろってランクインした。さらに1投稿あたりの平均コメント数ランキングでは、4位に稲垣、5位に草彅、6位に香取と、上位に位置している。タレント本人に自分のメッセージを伝えたいファンが多いことが分かる。
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2019年10月号の記事を再構成]
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