検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

怒る親見たら「ガッシャン」 あなたもできる虐待予防

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

日経DUAL

電車内や路上、人の集まるイベントなどで、親に怒られて泣いている子を見かけたら、あなたはどうしますか? 声を掛けてあげたい、断られたらどうしよう……。いろんな思いが駆け巡った末に、行動を起こせない人も多いのではないでしょうか。子どもにほほ笑みかけるくらいしかできなかった、という経験談も多く聞きます。

「周りには大勢の人がいるのに、誰も助けてくれない」。そんな母親の孤独感を和らげることこそ、虐待を防ぐ第一歩です。子育てアドバイザーで、多くの子育て支援団体の役員を務める高祖常子さんと、虐待予防に取り組む団体「ママリングス」代表の落合香代子さんに、どんな行動を起こせるのかを聞いてみました。

顔を向けただけで「にらまれた」と思い込んでしまうことも

・まず「私は怒ってないよ」とスマイルでママにアピール
・誰でもできる「ガッシャン!」で親を冷静に
・簡単だけど効く「パクパク」と「グーパーグーパー」
・「シール・折り紙・風船」をバッグに常備

「ほほ笑むことも、助けになるんですよ」と話す高祖さん。「切羽詰まった母親は、周りの人が泣き声のする方へ無意識に顔を向けただけで『にらまれた』と思い込んでしまうことがあります。ほほ笑みを向ければ、少なくとも親子に否定的な感情を持っていないことを示せます」

怒鳴っている親を見かけた時、誰でもできる簡単なアクションがあるといいます。少し距離が離れていたり、電車内でかばんを抱えて座っていたりしても大丈夫。それは「大きな音を立てる」ことです。「持っているかばんや本をわざとバサッと落とす、『ガッシャン!』とコップの水をちょっとこぼして『わあ!いけない!』と慌てる、大きい声で話すのもいいかもしれません。意識をこちらに向けて、逆上している親が、ふと我に返るきっかけを作るのです」

もちろん、親が気付かない可能性もあります。しかし直接親子に働きかける必要がない分、気楽に試せる方法でしょう。

もう一歩踏み込む場合、親より子どものほうがアプローチしやすい、と高祖さんは言います。「子どもの目の前で、親指と他の四本指をパクパク開閉したり、グーパーグーパーしながら手のひらを左右に動かしたりするだけでも、結構注目してもらえます。『いないいないばあ』でもいいですね。泣いている子が『何?』と気分を切り替えてくれたら成功です」

子どもの関心が移って泣きやむことがある「シール作戦」

また、落合さんはつい最近、「シール作戦」を実行したそうです。江東区内のショッピングセンターでのこと。人ごみの中、赤ちゃんを抱っこしたお母さんが、上の子どもを連れて歩こうとしたけれどその子がなかなか進まず、腕をつかんで振り回す形になりました。わっと泣き出した子どもに落合さんは駆け寄り、「大丈夫? 泣いちゃったね~。これあげるよ~」と、バッグからシールを取り出して渡しました。

「子どもはしゃくりあげながらも『ありがとう』と言ってくれました。ママからもお礼を言われたので『大変ねえ、今日暑いからねえ』と話し掛けると『そうなんです。疲れちゃって……』と答えてくれました。思いを吐きだしたことで、ママも少しは気分転換になったみたいでした」

落合さんによると、「泣いちゃったね」と子どもの状態をあえて口に出すことも、その行動を認め、受け入れているというシグナルになり、親子の安心につながるといいます。

高祖さん、落合さんともに、シールや折り紙、風船などをカバンに入れて、持ち歩いています。「あめなどのお菓子は、アレルギーの心配や、親が虫歯を気にする可能性があり、渡すのをためらわれます。シールや風船ならそういう心配はないですし、子どもの関心が移って泣きやむことがあります」(落合さん)

ただ、つかんだ物を何でも口に入れてしまう月齢の乳児に、この手は使えません。江東子育てネットワークはこのほど「こうとうおせっかいシール」を作りました。キャラクターのシールとともに、同ネットワークや虐待防止関連のウェブサイトのQRコードなどが記載されています。「情報提供だけでなく、子どもが泣きやむ道具としても使ってもらえればと思い、あえてシールという体裁にしました」と、落合さんは解説します。

親の孤立が虐待を生むことも 声掛けで「気にかけている」と伝えて

●親にアプローチするなら
・親へは「共感型」の言葉を
・帰宅後、子ども虐待のリスクも……無理は禁物
・一度断られてもめげないで

親にアプローチするのは、有効であるものの、ハードルが高くもあります。親自身に直接、語り掛けることで「周りの人はあなたを見ている、支えている」というメッセージをはっきり伝えられる半面、掛ける言葉によっては、怒りの火に油を注いだり、より落ち込ませたりするリスクもあるためです。

高祖さんは話します。「親に対しては『ぐずられると大変ですよね』『蒸し暑いと、ご機嫌悪かったりしますよね』といった、共感型の言葉掛けをしてみましょう。『もう夕方だから、赤ちゃん眠いのかな?』など、季節や状況に応じて、泣く理由をそれとなく『問いかけ』の形で言ってみてもいい。親は情報を得ることで、『私が悪いのではなく、夕方だからぐずっているのかも』と、気持ちが和らぎます」

ただ、2人とも「無理はしないで」と口をそろえます。虐待サバイバーからは「周囲から声を掛けられると、帰宅後に母親がいつも以上に荒れた。声を掛けないでほしかった」といった意見も出されていると、落合さんは指摘します。「親が『私の立場を悪くした』『あんたのせいで私が怒られた』とさらに激高し、子どもを虐待するかもしれません。親への言葉掛けはリスクもあることを、心に留める必要があります」

子どもの安全が脅かされる時は、見過ごさず声掛けを

特に、「もう(叱るのを)やめなさい」「周りに迷惑でしょう」「暑い日に子どもを連れ出しちゃだめよ」など、親をとがめるような言葉は禁物です。ただ、高祖さんは「声を掛けて断られても、『私が間違っていたのだろうか』と深刻に捉える必要はない」と強調します。

「例えば、駅の階段で母親がベビーカーを抱え、子どもがぐずって階段を上らない場面に遭遇し、『お手伝いしましょうか?』と声を掛けて断られたとします。親はその時、自分で対応できると思ったのかもしれないし、びっくりしてつい断ってしまったのかもしれない。この親子は今回は助けが不要だったのだなと割り切り、その後も困っていそうな親子には声を掛ければいいのです」

落合さんには、駅で子どもをひどく怒る親を見かけて「大丈夫ですか?」と尋ねたら、すっと離れて行かれた経験があるといいます。しかし落合さんは「親に暴言や暴力がある時は、その行為を止めるのを優先すべきだと思います。親への配慮も大事ですが、子どもの安心、安全が脅かされた時は、見過ごさないことが重要です」と話します。

「周囲にいる10人のうち9人は、心の底では親を助けてあげたいと思っていても、勇気や時間がなくて行動できないのでしょう。しかしその結果、親のほうは『子どもはわんわん泣いていて、私も困っている。周りにはこんなに多くの人がいるのに、誰も手を差し伸べてくれない。私は孤独だ』と考えてしまうこともあります」。高祖さんはこう指摘した上で、次のように話します。

「親の孤独感や孤立は、不安やいら立ちを増幅し、虐待へとエスカレートする可能性もあります。多くの人たちに声を掛けてもらったり、子どもをあやしてもらったりすることで、ホッとして心の余裕が生まれる。たとえその時は申し出を断っても、助けてくれる人は存在する、と思うだけで、孤独感は和らぐのではないでしょうか」

高祖常子
児童虐待防止全国ネットワーク理事。子育てアドバイザー。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、NPO法人タイガーマスク基金理事など多数の子育て支援団体の役員を務め、保育士や幼稚園教諭の資格も持つ。著書に『イラストでよくわかる感情的にならない子育て』(かんき出版)、3児の母。
落合香代子
ママリングス代表、江東子育てネットワーク共同代表。体罰のない子育てを推進する「ポジティブ・ディシプリン コミュニティ」理事。看護師。子育て訪問支援、産婦人科外来勤務、行政の子育て養育支援事業などに携わる。2016年から江東区と協働で、虐待予防、啓発を目的としたイベント「こうとう子育てメッセ」を企画・運営。2児の母。

(取材・文 有馬知子)

[日経DUAL 2019年6月12日付の掲載記事を基に再構成]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_