ランタンや発電機にも　コンロ用ボンベが防災に役立つ

多くの家庭にあるカセットコンロ。そのカセットコンロで使用するガスボンベ（CB缶）は、価格も安くコンビニなどでも入手可能である。キャンプや登山でも、CB缶を使ってお湯を沸かしたりちょっとした料理、ランタンなどに使える器具が増えてきた。アウトドアレジャーでも同じ缶を使うことで燃料が統一でき、災害時にもそのまま明かりに使ったり料理をしたりすることもできる。CB缶を使う発電機もあり、アイテムをそろえておくとなにかと心強い。

スノーピークの「HOME&CAMPバーナー」は、カセットコンロのイメージを覆すデザインや機構を持つコンロだ。鍋など調理器具を載せる五徳部と、燃焼するバーナー部を折りたたんでコンパクトに収納できる機構が斬新だ。五徳など使用時に吹きこぼれなどで汚れやすいパーツは内側に収納されるので、持ち運ぶ際に周りが汚れにくいのがうれしい。

収納状態はもちろん展開した状態もデザインが良いので家庭のおしゃれなリビングで使用する場合にも雰囲気にマッチする。アウトドアにおいてもはやりのオシャレキャンプ、グランピングなどで使っても違和感のないデザインだ。

ダッチオーブンやスキレットなどの鋳鉄製品は使えないという点や、コンパクトに収納できる半面、折りたたみなどの機構が複雑な点には注意が必要だ。

リビングに「見せる収納」的に保管しておき、必要なときにさっと使うのにピッタリなコンロといえる。

CB缶を使うコンロの弱点は、寒冷期や缶の残り容量が減ったときに圧力が下がり火力が弱くなること。それゆえにアウトドア、特に登山に持ってゆく人はCB缶の機器を避けることもあったが、SOTOはマイクロレギュレーターを搭載することでその問題を解決した。その中でも「レギュレーターストーブ FUSION（フュージョン）ST-330」は、ソロキャンプから大人数のキャンプまで対応する安定性とコンパクトな収納を両立させた新モデルだ。

マイクロレギュレーターによって、連続使用や低温時のボンベ内圧力低下の影響を軽減し、安定した火力を実現する。また、炎が出る炎口が約300個もあり、炎の高さが低いのと、すり鉢状にそれらが配置されていることで優れた耐風性を持つ。

4本の五徳は、パーソナルクッカーから大人数用の大鍋まで幅広く対応し、安定感にも優れているので、ソロハイクからファミリーキャンプのサブクッカー（コンロ）、万一の際の非常用コンロとしてなどマルチに使える。SOTOは、レギュレーターランタンやフィールドチャッカー（トーチ）などCB缶を使える器具を数多く販売しているので、燃料を統一したい人向けにもおすすめのブランドだ。

燃料式のランタンは明るいのがメリットだが、虫が寄ってきやすいというデメリットがある。SOTOの「虫の寄りにくいランタン　ST-233」は、虫が感じにくい波長の光（オレンジ色）で照らす「ハーフストライプホヤ」を採用することで、虫を防ぐ仕組みを持つランタンだ。市販の蚊取りマットを挟むことができる「蚊トリフレクター」によって防虫効果を高めている。さらにリフレクターは、虫がいる森などの方向に光を漏らさないことで虫を寄せ付けず、照らしたい方向に光を増幅させる効果も発揮する。

本体にホヤやマントルなどの燃焼部を収納し、使用時はCB缶を本体内にセットするという合理的な作りで、明るさも660ルクス（230W相当）と十分な明るさだ。虫のいない季節なら昼白色の「ハーフスクリーンホヤ」やガラスの破損の心配のない「メッシュホヤ」などのオプションパーツをつかうのもありだろう。

オートキャンプではメインのランタンとして活躍できるポテンシャルを秘めているほか、災害時などでも虫に悩まされにくいのがありがたい。

岩谷産業のカセットコンロシリーズは、家庭用からアウトドア向け製品まで、統一された操作感で使える。

「カセットフー タフまる」は、同社のカセットコンロシリーズのアウトドア向けラインアップ。「ダブル風防ユニット」により安定した遮風効果が得られ、パワフルな火力を誇る。耐荷重が20キロあるのでキャンプではダッチオーブンを載せても問題ない。焼き肉グリルやたこ焼きプレートなどカセットフー専用アクセサリーを使うことで、様々な料理に対応する。

2019年は台風15号や台風19号で数多くの家庭が停電した。中には数週間にわたるほど長期の停電もあった。いくらモバイルバッテリーで停電に備えていても、こういった長期の停電には無力だ。そんなときに役に立つのが発電機。発電機であれば燃料の補給をすれば電気を供給し続けられる。

ホンダが販売する「EU9iGB（エネポ）」は、CB缶を燃料とする発電機だ。出力は900VA（およそ900W）と家庭用電源の最低ラインである1000VAに迫るレベル。最低限の電力は余裕でまかなえるだろう。

CB缶2本使用で、最大出力時1.1時間の持続稼働が可能。使用電力に応じてエンジンの回転数を抑える「エコスロットル」搭載により、1/4の負荷なら2.2時間程度持続する。フルパワーでなければ駆動音も静かだ。

災害時においては、暑い時間帯にはエアコンだけ、料理する際に炊飯器や小型のホットプレート、電気ポットなど、必要な機器のみを動かすのであれば十分対応できる。二台を並列につなぐことで最大1800VA、コンセント一つあたりで最大1500W、2つで合計1800Wまで使用可能になるので、電子レンジなどの機器も使用できるようになる。なお、発電機の排ガスには一酸化炭素が多く含まれているので屋内での使用は厳禁である。屋外の換気のいい場所に置く必要がある。

CB缶を大量に消費するのが難点だが、使いたい電気機器と使用時間（災害の場合には電気の復旧予想時間）から用意する缶の数量も算出できるだろう。消費電力を調べたり、使用する時間など算出することで、普段意識しないでつけっぱなしだった家電の消費電力が可視化されて電気を大切に使うきっかけにもなるかもしれない。また、家電のみで過ごすことを考えず、カセットコンロなどを併用するなど、本当に電気が必要なことのみを発電機で賄うなど効率的な運用も必要だろう。

（ライター　戸津弘貴）