MITは「みんなよくしゃべる」、でも定量分析では日本人の圧勝

――MITのMBAコースで学んだ感想は。

「口達者な学生が多いハーバードと比べると、MITは地味で実質重視といわれていますが、それにしても『みんな本当によくしゃべるな』と最初は驚きました。ただ話を聞いてみると『もっともらしいことを言っているが、中身は大してないな』という発言が結構多かった。むしろ定量分析などの科目では日本人学生の圧勝だったりする。米国の秀才たちは合理性を重んじ、アウトプットを出すための最短距離を常に考えます。一方、僕を含めた日本人はオタクで職人気質の人が多いので、重回帰分析など複雑な数学を駆使しながら、内容を徹底的に突き詰める。だから『プレゼンテーションのスキルでかなわなくても、中身では負けない』という自信が持てるようになりました」

日産時代に社内の若手らと(一番手前が梅澤さん)

称賛される米国企業、「バラ色なわけがない」と疑問

――日産の社費で留学したのに、なぜ米A.T.カーニーに移籍したんですか。

「米国企業についてもっと本格的に研究したくなったからです。当初はマーケティング知識を身に付けて日産に戻るつもりでしたが、米国企業をやたらに称賛する授業を聞いているうちに『そんなにバラ色なわけがないだろう』と疑問を抱くようになり、それを確かめたくなったんです。コンサルティング会社を選んだのは、あらゆる業種の企業に入ってゆくことができるから。日産に負担していただいた授業料などの費用はお返ししました」

――すごい競争倍率だったんでしょうね。

「やはりA.T.カーニーにはMBAの成績上位者が集まります。でも僕の場合、日産で実務を手がけた実績があったのが大きかった。当時、米自動車メーカーは業績が悪化し、日本車メーカーに学ぼうという姿勢が強かったんです。ほかのコンサルティング会社にも合格しますが、日米通商交渉の自動車分野で米政府のアドバイザーを務めていた人が自動車グループを率いていたので、A.T.カーニーを選びました。それで入社と同時にニューヨークで働き始めます」

MITスローン経営大学院の卒業式で学友(左)と

採用で評価された日産での実績、「ニッチ分野でリーダー目指せ」

――バリバリの外資系企業でスムーズに働けましたか。

「米国育ちの同僚たちは議論の主導権を取るのが巧みなので、どうやって自分の存在感を発揮するかではかなり悩みました。試行錯誤の末、たどり着いたのが『ニッチな得意分野でリーダーを目指すこと』。日産やMITでの知見をいかし、小売業や消費財メーカーに提供するサービスで実績を上げるうちに、いつの間にか『マーケティング分析ならウメザワ』という評価が社内に広がっていた。マーケティングの定量分析という同僚が避けて通りがちな分野に自分の旗を立てることで生き残ったんです」

「米国企業を見て感じたのは、トップダウンの決断の速さとダイナミズム。多文化の環境で組織をまとめ、物事を動かすには、分析や意思決定のプロトコル(手順)が重要ということも学びました。ただミドルマネジメント以下の層を比べると、日本企業の方がレベルが高いと感じます」

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