1966年以来の伝統を誇る「トヨタ・カローラ」の現行モデルに、4ドアセダンとワゴンの「ツーリング」が登場。専用設計のショート&ナローなボディーを持つ日本仕様の出来栄えやいかに? 足まわりに改良を受けた「カローラ スポーツ」の走りもあわせて報告する。
涙ぐましい日本仕様の努力
ついに3ナンバー車となって、やれ日本軽視だ、カローラよお前もか……といわれる新型カローラ(のセダンとツーリング)だが、実物は思っていたより小さかった。
新しいカローラは骨格構造を全世界向けで「GA-C」プラットフォーム(=5ナンバー不可)に統一しつつも、車体サイズを日本専用にギリギリまでショート&ナローにしている。全幅は、国内で“使える”と実証済み(?)の先代「プリウス」と同寸の1745mmとして、全長も同車とほぼ同等のアンダー4.5mにおさめた。さらに“低重心”を大きな売りとするGA-Cの利点を生かすべく、新型カローラの全高はわずか1435mm(ルーフアンテナなしのセダンの場合)と先代プリウスより明らかに低くしてあるので、なおさら小さく見えるのだ。


しかし、それだけでは飽き足らず(?)、ドアアトリム後端部を斜めに削り取ったようなカタチにして、乗降時における実際のドア開閉幅も5ナンバーの先代と同等にしたり、ドアミラーもギリギリまで上げて寄せることで、格納時の車両幅を先代の10mm増(片側5mmずつ)におさめたりしている。
ただでさえ軽自動車偏重の日本市場で、カローラどころか国産車ですらなく、わざわざ某フランス車なんぞに乗っている私は“ここまでやっていただいて、逆にすみません”と平身低頭するしかない。
新型カローラのグローバルモデルは、たとえばセダンでいえば「ホンダ・シビック」や「スバルWRX」とドンピシャサイズである。対する日本仕様のセダン/ツーリングは、幅方向はフェンダーやドア、サイドパネルなどの肉づけを削り取ることで、長さ方向ではセンターピラーより前方を基本的にグローバル共通設計としつつ、ホイールベースとリアオーバーハングを短縮することで、小型化している。
もはやわざわざナビを買う時代ではない?
よって、日本の新型カローラ セダン/ツーリングは、車体後半がギュッと凝縮された尻軽感あるスタイルが特徴だ。このプロポーションを“軽快でスポーツ的”と受け取るか“アンバランス”と感じるかは人それぞれだろう。
インテリアデザインは先行発売されたハッチバックのカローラ スポーツと共通である。先代モデル(=「オーリス」)までの欧州戦略は、「『フォルクスワーゲン・ゴルフ』と同サイズながら価格は割安」であることを売りにしていたが、欧州でもあらためてカローラの名を復活させた新型では、価格でも品質でもゴルフにガチンコで競合させるらしい。

そういわれてみると、なるほど柔らかい手ざわりのダッシュボードにステッチ入りのレザーを重ねる凝った製法や、繊細なメッキ部品など、その質感は高級車ぞろいの最新欧州Cセグメント各車と比較しても大きく引けを取らない。
ただ、私のような中高年オヤジ(=カローラの仮想顧客層ど真ん中?)にとって最大の驚きは、今回から7インチカラー液晶を核とした「ディスプレイオーディオ(DA)」を、スポーツも含めた全車が標準装備としたことだ。