司会 ワーキングマザーが増える中、子育て中の仕事へのモチベーションをどう保てばいいと思うか。
吉田 産休明けにワーキングマザーが働きやすい職場環境を求める風土改革プロジェクトチームに応募して、率直な意見を出したことは社会人人生でプラスになった。
子育て中は十分に仕事ができていないと感じることもあるかもしれないが、会社はわかった上でその立場に配置している。やってみて改善していくのがよいのではないかと思う。
山下 育児とのバランスは難しい問題だ。自分は仕事のステージを狭めたくない一心で、これでいいのかなと自問自答しながらやってきた。
いつか子どもが手を離れて自由に仕事できる日が来る。それまではできるだけ子どもの側にいてもいいのかな、と思うこともある。できないのであれば、子どもだけではなく周囲にもその理由をわかってもらう努力をした方がいい。
河崎 子どもが小学生の時、「なんでお母さんは家にいないの」と言われショックだった。いろいろな人に相談し、子どもに働いている背中をきちんと見せることが大事と言われた。一生懸命やらないと子どもに失礼だと思う。チームのメンバーにも、効率よく自分の悔いのないように、時間を工面して働いてほしいとアドバイスしている。
司会 女性就業者は3000万人を超えた。女性の間で意識の違いも広がっているのでは。
河崎 世代間のギャップははっきり言ってある。若い世代をうらやましいと思うのが「主張する力」だ。私たちの世代は色々なことを我慢したり合わせたりしてきたため、あまり主張できなくなっている。若い世代の言葉をできるだけ会社に伝えて、変わっていく手伝いができたらと思っている。
司会 様々な女性が職場にいる中で、気持ちよく仕事をしていくための工夫は。
吉田 女性だから、男性だからではなく、自分のやりたいことを自由にやっていくというのがよいのではないか。仕事が大好きであれば、子育てをちょっとアウトソーシングして仕事の比重を大きくしてもいいし、子どもと一緒にいたいと思えば仕事を辞めてもいい。その人が何をやりたいのかを生かしながら、自分の人生を考えればいい。
山下 やる気次第で何でも挑戦できる土壌は整ってきているのではないか。女性の活躍推進は多様性を高めるためのものだ。女性が働きやすくなっただけで終わってはいけない。ダイバーシティーはいろいろなものが交じって組織力が高まるというのが最終ゴール。女性がいるだけではだめで、活躍して初めて多様性が高まる。
〔日本経済新聞朝刊10月8日付〕