
女性がさらに活躍できる社会の実現に向け、日本経済新聞社は9月5日、「日経ウーマノミクス・シンポジウム」を東京・大手町の日経ホールで開いた。「女性活躍 育んで引き継いで」をテーマにしたパネルディスカッションには男女雇用機会均等法世代の女性社員が参加し、自らが経験した女性活躍への歩みや課題、子育てとのバランスなどについて意見を交わした。
積水ハウス 住生活研究所長 河崎由美子氏
1987年入社。住宅の採光・照明などの研究に始まり、一貫して生活に密着した研究開発を担当。2018年に「幸せ住まい」を研究する住生活研究所の初代所長に就任。1級建築士。
東京海上日動火災保険 旅行業営業部長 山下真粧子氏
1991年に総合職(当時)として入社。事故に遭った顧客への損害サービス業務などを担当。2019年4月に入社以来初の営業部門に異動し、旅行業チャネルの営業部長に就任。
アフラック生命保険 プロダクトオーナー、課長代理 吉田朝日氏
2003年入社。産休から復職後、ワーキングマザーが働きやすい職場改革を求め風土改革PTに参加。19年から機動的な業務運営を目指して組織されたアジャイルチームに所属。
司会 男女雇用機会均等法の成立から約35年。これまでの間に変わったことや、壁の乗り越え方を教えてほしい。
河崎 均等法第1世代で、均等だと思って入社したら職場は男性中心だった。「すぐに辞めようかな」と思ったほどだったが、大好きな仕事、業界だったので「好き」という気持ちで乗り越えてきた。
山下 変わったなと思うことは2つある。まずはワーキングマザーがすごく増えたこと。もう一つが、女性の活躍のステージが広がったことだ。
吉田 入社して2年目で産休を取得した。戻る気満々で相談したが、上司は産休の手続きをしたことがなかった。それから15年たち、子どもができて辞めるという人が本当にいなくなった。考え方が大きく変わったなと思う。
司会 一方で、いまだに変わらないことやなかなか変えられないところが見えてきたのではないか。
河崎 経営陣を含む大きな会議の場で、気付くと女性は自分一人というときがある。後輩もどんどん主任や課長になっているが、もう少し時間がかかるのかなと感じている。
山下 女性にはこの仕事はちょっと難しいんじゃないか、という意識が、女性社員側にもあるのではと感じることがまだある。一方で、自分たちが仕事のやり方を変えていかないと、続く世代に「自分も挑戦しよう」と思ってもらえないのだろうとも感じる。