ポスト「タピオカ」探せ レモネード・バナナに熱視線
昨年に引き続き、若い世代を中心に大変な人気を集めているタピオカドリンク。専門店だけでなくスシローやロッテリアなど外食チェーンも、新メニューとして相次ぎ販売し、依然として飲み物のトレンドをけん引している。一方でポストタピオカをうかがうドリンクがいくつも名のりを上げている。
タピオカも進化、もちもち食感強く
まず、人気が衰えないタピオカドリンクからみていきたい。最近のトレンドは、食感をより強化した「生タピオカ」の専門店が増加中であることだ。
生タピオカは、原料のキャッサバをタピオカ粉にして、手でこねて作り上げるため、もちもち感が強いのが特徴だ。代表格は、2018年12月にベトナムから上陸した「モッチャム」。現在までに東京や関西、九州などに8店を出店し、毎日のように全店で売り切れ状態が続いているという。
さらにタピオカ粉の製造も店舗で行う「丸作食茶」も台湾から上陸。食感の良さを追求することでこれまでのタピオカドリンクと差別化を図る流れは、今後も加速していきそうだ。
「ポストタピオカ」として台頭してきた勢力に目を移したい。
一番手となるのは、レモネードだ。金沢市発祥のレモネード専門店「LEMONADE by Lemonica」では、時期ごとの旬のレモンを世界中から集め、石川県・金沢に設立した国内初となるレモネード専門工場で搾ったレモンエキスを各ショップに配達。スタッフが一杯ずつ手作りで提供している。レモネードだけで20種類以上のメニューをそろえ、今年だけでも12店を出店するなど、一気に人気に火が付いている。
フードジャーナリストの里井真由美氏は「もともとドリンクのトレンドは、2年くらいのスパンで、"濃厚まったり"と"さわやか"を行ったり来たりするもの。しかし最近はそのサイクルが短くなってきた」と話す。
キーワードは健康とSNS
一方、消費者の「健康志向」ニーズからポストタピオカ候補に名乗りを上げたのは、バナナジュースだ。バナナは食物繊維が豊富で腹持ちも良い。バナナジュース専門店の「sonna banana」は、バナナ本来の甘みを生かし、砂糖は使わない仕様だ。防腐剤なども使っておらず、おいしく飲んでもらうため「賞味期限20分」とうたい、その場ですぐ飲むことを推奨している。
バナナジュースだけでその種類は30以上。子供を持つ親にも受け入れられ、東京・中央区の1号店はじめ計5カ所の店舗には大勢の客に支持され、毎日完売の状況が続いている。
昨年以降、韓国でボトルドリンク人気に火が付いているが、日本でも関西発の「cafe no.」(カフェナンバー)のボトルドリンクが人気だ。そのシンプルなパッケージで、インスタグラム上に写真投稿が相次いでいる。現在は東京・原宿店を含め10店舗を展開し、一番人気のストロベリーミルクは、全店合計で1日に2000~4000本売れている。
さらには熊や球体、ハート形といった様々な形が選べる東京・原宿の「Shonpy」のボトルドリンクにも注目が集まる。中でも「くまボトル」の人気が高くSNSに投稿が相次いでいる。「いちごみるく」「黒糖ほうじ茶ラテ」などの味にタピオカのトッピングも可能という。
タピオカ人気に端を発したドリンク人気は、形を変えながら、秋を迎えても続いていきそうだ。
(発売中の日経トレンディ11月号より再構成文・山口 佳奈)
[日本経済新聞夕刊2019年10月12日付]
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