Men's Fashion

スーツを着るのは顧客への敬意 シンプル+上品が理想

リーダーが語る 仕事の装い

タイユヴァン総支配人 アントワーヌ・ペトリュス氏(上)

2019.10.24

レストラン「タイユヴァン」といえば、フランスを代表する老舗レストランの一つだ。「食とワインの調和」を掲げ、国内外の著名人らを魅了。1946年の創業以来、長らくミシュランの星も守り続けてきた。その総支配人を2018年から務め、フランストップクラスのソムリエでもあるアントワーヌ・ペトリュス氏に、装いの流儀やファッション観について聞いた。

<<(下)オーダーメードの革靴 国内外歩き回る仕事の良き相棒




■ソムリエの世界に入って以来スーツにネクタイ

――名門レストランの総支配人という立場上、装いはやはりスーツが基本ですか。

「そうですね。スーツを着るのは、ひとえにお客さまに対するリスペクト(敬意)です。またスーツ姿でいることは職場の雰囲気づくりという面でも、スタッフにメッセージとして伝わりますから。個人的にブルーが好きなので、きょうも上下ネイビーです。明るくない色味のものを選ぶよういつも心がけています」

――黒はいかがでしょう。

「フォーマルなイベントやパーティーのときは、黒のスーツを選びます。参加者の方々がみな黒だと、違う色味ではその場の雰囲気に同化せず、浮いてしまいます。参加者に合わせたスーツの色味選びは重要です」

「スリーピースを着ていれば、しぼった体形に見えます」

――総支配人に就任してからと、それ以前とでご自身の「装いの流儀」に変化はありましたか。

「私がソムリエの世界に興味を持つようになったのは20歳前のことです。フランスのロワール地方のワインサロンで、世界的にも有名なソムリエたちとの出会いがきっかけでした。以来、名門レストラン『ポール・ボキューズ』のシェフ・ソムリエの下で、アシスタントを務めるなど一流のソムリエになるべくキャリアを重ねてきました。これまで学び過ごした環境が、スーツにネクタイという世界だったので、総支配人就任前後で、さしたる変化はありません」

「あえていうならば、スリーピースでしょうか。それまでスーツは着ても、ベストを着けたことはありませんでしたが、スリーピースだと、食事してもおなかがぽっこり出たようにはなかなか見えませんからね。仕事柄、生産者のもとに出向いたり、生産者の方が来店されたりして、テイスティングの機会がめっきり増えました。スリーピースを着ていれば、しぼった体形に見えますからね」