相続空き家の放置はNG 売却と賃貸、税はどうなる

市川恭子税理士は「どちらも選べるなら、多くは3000万円控除の方が有利」と話す。例外は相続税額がかなり高額なケースだ。マンションや売却価格1億円超の戸建てなど、3000万円控除の対象外でも、取得費加算特例は使える可能性がある。

空き家を手放したくないなら、他人に賃貸するというのも選択肢だ。相続前に賃貸に出せば、相続税を計算する基となる土地や建物の評価額を下げられることがある。

相続税には親と同居していた子らの税負担を軽減する「小規模宅地の特例」という仕組みがあるが、親の死後、空き家になるような物件の場合、そもそも親と子が同居していないケースが多い。賃貸にすることで相続税負担を抑えられるなら効果は大きい。

空き家は「放置しないが鉄則」

ただし、賃貸期間が短かったり空室が出ていたりすると想定通りの評価減にならないことがある。NPO法人、空家・空地管理センターの上田真一代表理事は「手元資金に余裕がないなら、賃貸に出さない方が無難」と注意する。空室が多いような老朽物件は漏水や給湯器の故障などで多額の修繕費用が発生しやすいうえ、固定資産税などのコスト負担が続くからだ。

空き家が戸建てかマンションか、相続税がかかるか否かなどで利用できる税関連の制度は異なる(図C)。自分の事情に合う方法を早めに調べておくといい。

相続した家をどうするか方針をすぐ決められない場合も「放置しないことが鉄則」(上田氏)。管理状態が悪く、自治体から危険と指定された「特定空き家」は固定資産税の優遇がなくなり、税負担が増大する。方針を決めるまで時間がかかるなら、空き家管理サービスなどを利用して、建物の劣化を避ける手立てを講じたい。

(堀大介)

[日本経済新聞朝刊2019年10月12日付]

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