退職してフリーランスに 社会保険・税金はどうなる?

写真はイメージ=PIXTA
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いずれ会社を辞めてフリーランスとして働きたいと思っています。しかし収入が続くか、社会保険制度に入れるのかといった不安もあります。どう考えればいいのか教えてください。

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フリーランスは自営業者の一種で、企業に属さずに自らの職能を頼りに働く人たちです。プログラマーやライター、カメラマンなどが代表例です。企業などから仕事を請け負い、報酬を受け取ります。

近年は企業がインターネットを通じて仕事を発注する「クラウドソーシング」が増えたこともありフリーランスの働き方は多様になっています。例えばアニメーターはネットを通じて、制作会社から作画の依頼を受けたり納品したりできます。

内閣府によるとフリーランスに相当する雇用的自営業者の数は2015年で約164万人と年々増えています(図)。副業や兼業として仕事を請け負う人を含めると300万人はいるそうです。

社会保険労務士の井上大輔さんは「フリーランスの仕事は特定企業からの発注に依存しやすい」と話します。文書による契約を作らず口約束で済ます企業は多く、報酬を巡るトラブルが増えています。

フリーランスは労働基準法上の労働者に当たりません。失業給付などを定めた雇用保険制度に加入できません。労災保険にも入れず、仕事中に大けがをして働けなくなったとしても公的な補償は受けられません。このため自ら保険会社の所得補償保険に入る人が多いそうです。

多様な働き方を後押ししようと政府は改善に乗り出しています。仕事を原因とするケガや病気に対する補償の道を作ろうとしています。

現行の労災保険には「特別加入制度」があり、自営業者のうち建設業の大工や左官などは加入が可能です。一般の労災保険のように企業が保険料を全額負担するのでなく、補償の程度に見合う保険料を本人が負担します。この制度を参考にしながらフリーランスへの支援策を考えます。

税金面では「同じ仕事で同じ年収を得ても会社員に比べて不利」と税理士の藤曲武美さんは話します。フリーランスを含め自営業者は税制上、「個人事業者」として扱われます。実際にかかった経費を収入から差し引いて課税所得を計算します。

これに対して会社員の場合は経費を一定の算式に基づいて概算します。「給与所得控除」といい、金額は多めに認められてきました。そうした格差是正を意識して政府は税制改正に着手しています。

2020年から給与所得控除の額を一律10万円減らします。これだけだと自営業者に恩恵はないので同時に、自営業者にも会社員にも適用される「基礎控除」の額を10万円増やして48万円にします。その結果、会社員は給与所得控除のマイナスと基礎控除のプラスで差し引きゼロです。自営業者は基礎控除が増える分、事実上の減税となります。

[日本経済新聞朝刊2019年10月12日付]

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