ふくらはぎを使って歩こう 実は多い脚の静脈の病防ぐいつまでも歩けるための健足術(5)

日経ヘルス

写真はイメージ=PIXTA
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自分の足を健康に保つための「健足術」の連載5回目は、脚の血管をテーマに取り上げる。脚の血管の病気は動脈と静脈で異なるが、血管の特徴を踏まえながら、どのように違うのかを解説する。

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足を専門的・総合的に診察する下北沢病院。その副院長である長崎和仁さんは、血管外科医として、「脚の血管」の病気を診ている。

「心臓や脳では、血管の病気といえば、動脈が中心です。しかし、脚の血管では、動脈だけでなく静脈の病気も多く、それぞれの血管の“特徴”に基づく病気が起こります」と、長崎さんは語る。

動脈も静脈も「詰まる」、しかし原因が異なる

その“特徴”はこうだ。まず、心臓から送り出された血液を体のすみずみまで送り届ける「動脈」。血液の強い圧に耐えられるよう、壁は厚くなっており、流れる血液は栄養たっぷりだ。

そのため、「壁に粥腫(じゅくしゅ)という脂質などが固まった塊ができやすい。動脈硬化の一つで、これが脚の血管で起こるのが、『下肢閉塞性動脈硬化症(かしへいそくせいどうみゃくこうかしょう)』。圧倒的に男性に多い病気です」(長崎さん)。

(イラスト:内山弘隆)
(イラスト:内山弘隆)

逆に、血液を心臓に戻す役割がある「静脈」はどうだろうか。静脈内の血圧は、動脈よりはるかに低いため、壁は薄く柔らかい。その一方で、内側に血液の逆流を防ぐ、ハの字形の「静脈弁」がついている。

「この弁が壊れて、血液が一部にたまって、瘤(こぶ)のようになるのが『下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)』。静脈の壁が柔らかいからこそ、血液がたまり、瘤になるのでしょう」(長崎さん)

動脈では心臓のポンプ作用で血液が送られるが、静脈で心臓の代わりをしているのが脚の筋肉。脚を動かすことによる筋肉のポンプ作用で、静脈の血液が押し上げられる。このことは知っている人も多いだろう。

(イラスト:内山弘隆)
(イラスト:内山弘隆)

だが、長時間座ったままだと、そのポンプ作用が起こらない。そのため、静脈内で血液が停滞し、血液が固まり、血栓ができてしまう。これを「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」という。