仕事の質は早さで決まる 「複数タスク」をこなすワザ『スピード仕事術』

常に相手の期待を上回れ

クライアントの要望にスピーディーに対応すると、「仕事がしやすかった」と言ってもらえます。予定より何でも早めに出す人と、いつも締め切りギリギリの人、締め切りを守れない人がいたとしたら、誰でも「早めに出してくれる人と仕事がしたい」と思うでしょう。「仕事がしやすい」という印象の多くは、「スケジュールより早めに動いてくれる」という安心感が占めていると言ってもいいと思います。
(PART2 400のプロジェクトを“超”高速に進める手法 169ページ)

仕事のスピードを加速するには、個々の作業手順やプロセスを改良するだけでは不十分です。実際はチームのあり方を土台から変えなければダメなのです。このことを著者は、繰り返しメッセージとして発信しています。特にPART3では、その点が詳しく解説されています。まず取り組むべきなのが、チームの目標設定です。著者の言葉を借りると「『何にお金と時間を投資するか』を明確にする」という姿勢です。チーム力をアップするには「スタッフの長所を伸ばす」ことに専念する戦略も欠かせません。

チーム強化のメソッドで「常識」と思われていることを、一度疑ってみる視点も大切です。本書では一例として「ブレーンストーミングは意味がない」という指摘がなされています。

「ブレストなどで多くの人がアイデアを出し合うと良い案がまとまる」と考えている方は少なくないと思いますが、ブレストには危険な面もあります。
大人数で集まって話し合うことで、実際のアイデアの善し悪しとは関係なく「みんなで一生懸命考えたんだから、これは絶対にいいアイデアのはずだ」と思い込みやすくなります。それでプロジェクトが失敗しても「みんなで決めたアイデアだから」ということで責任の所在もうやむやになるでしょう」。
(PART3 ビジネスを加速する投資&チームづくり 203~204ページ)

自分が楽しんで人を巻き込む

仲間6人という小さなチームから出発した著者は、「良い仕事をするために、いかに人を巻き込むか」を常に意識してきたと言います。人を巻き込むためには「まず自分が楽しむこと」が肝心だと自分自身に言い聞かせてきたそうです。

あなたが子どものころ「早く宿題を済ませなさい」と親に言われたら、どう感じたでしょうか。「すぐやります」という素直な子どもは珍しいでしょう。大人も同じです。上司やクライアントから「早くしろ」とせかされても、ストレスがたまるだけです。自分から「てきぱきこなすことが楽しい」という状態を作り出すことが重要です。管理職やチームリーダーは、是非身につけておきたい心構えです。

◆編集者からのひとこと 日本経済新聞出版社・桜井保幸

近年、「脳疲労」という概念が関心を集めて います。人間の脳はコンピュータとよく似ていて、 情報処理能力に限界があります。同時にたくさんの仕事をこなそうとすると、パソコンがフリーズを起こすように、作業の質は格段に落ちてしまいます。しかし、世界中からのオファーが絶えない人気デザイナーである著者は常に400 以上のプロジェクトを抱えており、仕事のスピードを重視すると質も高まると言うのです。本書は ビジネスピープルのみならず、時間に追われがちな現代人の必読書だと思います。

一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ出版社の編集者が20~30代のリーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。掲載は原則、隔週土曜日です。

400のプロジェクトを同時に進める 佐藤オオキのスピード仕事術 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 佐藤 オオキ
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 825円 (税込み)

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