買い物「後払い」一気に定着? AI審査でクレカ不要

写真はイメージ=PIXTA
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インターネット通販や実店舗でクレジットカードを使わずに購入代金を後払いできるサービスが広がっている。運営業者が代金を立て替え、利用者は後日、コンビニエンスストアや銀行などで支払う。人工知能(AI)が個人の信用度を解析して上限額などを決める与信審査の仕組みが注目され、クレカに代わる決済手段として台頭してきた。

「NP後払い」1350万人が利用

業界最大手のネットプロテクションズ(NP、東京・千代田)の「NP後払い」は利用者が約1350万人だ。ユニクロやマツモトキヨシなど4万サイト以上で導入している。各通販サイトで支払いをするときに「NP後払い」を選ぶとNPが与信審査に入り、承認後に商品が出荷される。商品と請求書が届いた後、コンビニや銀行で支払う。

NP後払いはファッションや食品、ギフトなどの各社ECサイトで利用ができる

実店舗でも使える会員制の「atone」も含め、利用上限額は利用者の購買行動からNPが信用度を分析して決める。その際に活用するのがAIだ。店舗のシステムと連携するなどして利用者の買い物の頻度や時間帯、支払い状況などの情報を解析する。

クレカでは年収や勤務先などの属性から信用度を見極めて発行の有無を決めるが、後払いでは支払いに関わる行動履歴を与信の参照とする点が大きく異なる。利用者側にとっては、手続きの簡便さも後払いを選ぶ理由になっているようだ。

ペイディー(東京・港)でもAIを活用している。信用度の高さに応じて上限額を決め、分割払いにも対応する。NPと異なり請求はメールで届き、手続きはペーパーレスで済む。

メルカリなど新規参入も相次ぐ

新規参入も相次ぎ、メルカリのスマートフォン決済子会社メルペイ(東京・港)は4月に「メルペイあと払い」を開始。20年には分割払いもできるようにする。山本真人執行役員は「従来の与信の仕組みでクレカを使えない若者や主婦にも利用してほしい」と話す。

国内の後払い決済額は現在5000億円前後とみられ、3年後には1兆3500億円まで増えるとの試算もある。電子商取引(EC)の利用拡大が背景にあるが、「ネット上でクレカの情報を登録したくない」「商品が手元に届いてから支払いをしたい」といった消費者の需要も取り込んでいる。従来の着払いは商品を受け取るときに在宅している必要があるが、後払いは好きなときに支払えるなどのメリットもある。店舗にとっても支払い手段が多様化すれば、売り上げ増につながるという。

手元にお金がなくても利用できるため、使いすぎが心配なのはクレカと同じだ。AI活用で各社は貸倒率を低く抑えているようだが、支払いが遅れると延滞料がかかることもある。

(成瀬美和)

[日本経済新聞朝刊2019年10月12日付]