バラエティー『かみひとえ』 ギリギリのスゴ技動画
「有名CMソングの存在しないAメロを作ってしまう男」や、「最後の一音を紙飛行機で奏でるバイオリニスト」など、驚きの特技を持つ人の動画を紹介。体当たりのアクロバット技や、セクシー芸なども飛び出す。人気者になれる可能性のある"スゴイ"人なのか、それとも単なる"ヤバイ"人なのか。MCの博多華丸・大吉とココリコ、そしてゲストがジャッジし、全員がスゴイと認めると、その場でスタジオに登場できる。
テレビ朝日の『かみひとえ』は、2018年の10月に放送した特番『取扱注意人物 スターの種か?デンジャーか?』が基となり、今年4月に深夜でレギュラー化。7月から23時台に放送時間が上がった。演出の三枝健介氏は、かつてはココリコの『いきなり!黄金伝説。』(98~16年)を担当していた。「田中さんは若手芸人のネタを見るのが大好きで、遠藤さんは『黄金伝説』で体を張りつくしてきたから、人のチャレンジに興味がある方。芸人やタレント、一般の方も全部ごちゃまぜにして、埋もれているパワーだったり、スゴイとヤバイのギリギリのところに着目しようと、この形になりました。華大さんには2回目の特番から加わっていただきましたが、珍しい4ショットで、新しい世界観になったと思います」(三枝氏、以下同)
スゴ技を持つ"かみひとえさん"は、公式サイトで動画を募集しているほか、芸能事務所にもくまなく声をかけ、SNSなどもチェックしてリサーチしている。「採用するかは、『華大さんとココリコさんに見せたいか』が基準です。最初は動画の面白さが肝になると思っていましたが、玉石混交なので『なんでこんなことをやろうとしたの?』と、その人の背負っている人生が気になるときは、よりスタジオが盛り上がるなと感じています」
収録日にはいつでも登場できるように、動画が紹介される人は全員スタジオの裏でスタンバイしている。「MCの4人とからんだときの化学反応に期待しています。朝の7時頃から3時間半以上ずっとリハーサルをして『もし出ることになったら、こうしましょう』と、ディレクターが見守るなか待っているんですけど、1人でも"ヤバイ"の札が上がったら、そのまま帰ることになります」
そんなこともあり、最近はMC4人の審査が甘くなりがちだという。「出てくる人たちに愛情が芽生え始めて(笑)。ゲストの方は遠慮なく"ヤバイ"を上げるので、大吉さんが『冷静な判断をありがとう』と言うくだりは定番になってきています」
見るに堪えない場合に動画を打ち切れる"ヤバイ"ボタンも用意しているため、下品になりすぎない安心感もある。
当初のコンセプトは「明日のスターを見つける」だった。華大とココリコのアドバイスを受けて、同じ人が新しい動画で再度挑戦したりと、修業の場のようになってきているという。「今は、少しツイッターがざわつくような人が出てくるといいな、ぐらいの感じです(笑)。特に見てほしいのは女性層。長く続く番組にしたいです」
(日経エンタテインメント!10月号の記事を再構成 文/内藤悦子)
[日経MJ2019年10月11日付]
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