発見、古代サメの全身化石 異形の深海魚と重なる姿

日経ナショナル ジオグラフィック社

しかし、深海に暮らすラブカはめったに見られないため、その摂食行動については、解明されていない点がいくつもある。そこで、研究チームはフェボダスの摂食方法をより深く理解するため、頭骨、顎、歯が驚くほどよく似ている別の無関係な種も調べてみることにした。アリゲーターガーという巨大な淡水魚だ。

北米有数の大型淡水魚、アリゲーターガー。大きいものは体長3メートルを超える(COURTESY OF ZEB HOGAN)

アリゲーターガーはフェボダスと同様、長い顎と平らな頭骨を持つ。これらはかむ力を制限する要素だ。ただし、アリゲーターガーの摂食行動を研究する米シカゴ大学のジャスティン・レンバーグ氏によれば、このような頭には利点もあるという。

「彼らは開けた水域で狩りをします。つまり、次の獲物がどこからやって来るのかわからないということです。平らな頭と長い顎は、横からやって来る獲物にかみつくのに適しています」

今も深海に潜んでいるのか?

サメとガーというまったく異なる魚の捕食戦略を比較するのはおかしいと思うかもしれない。しかし、レンバーグ氏によれば、絶滅した動物の行動を古生物学者が再現する際、しばしば、このような分析がとても効果的だという。

「特定の構造や戦略が有効だった場合、現生種と化石記録の両方で、同じ構造や戦略が繰り返し現れる傾向にあります」とレンバーグ氏は話す。「フェボダスがデボン紀の海を泳いでいたときから多くのことが変わりましたが、水中で摂食することの物理的性質は変わっていません」

それでもフェボダスは、デボン紀に続く石炭紀の初期には絶滅した。似た特徴をもつラブカが登場する何千万年も前のことだ。人目を避けて暮らすラブカのように、フェボダスとよく似た種がまだ深海に潜んでいる可能性はあるのだろうか?

ラブカの専門家であるエバート氏は「可能性はないと思います」と述べている。「私は新種を探すことにキャリアを費やしてきましたが、このような種に遭遇したことはありません」

(文 TIM VERNIMMEN、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年10月2日付]

注目記事
今こそ始める学び特集