2019/10/15
ウィキペディアの編集方針について説明を受けるWikigapの参加者ら

横浜市から参加した田村萌々花さん(27)はバーレーンの人権活動家、マリアム・アル=カワジャさん(32)について記事を書いた。「日本ではまだ知名度が低く、記事をきっかけに多くの人に知ってもらいたい」と参加の動機を語る。

一般社団法人MOTHERの小沢あき代表(38)は、1988年に「子供地球基金」を設立するなど子どもたちを支援する活動をしてきた女性起業家、鳥居晴美さん(63)の記事を公開した。「発信力のあるママたちの活動を紹介したい」と意気込みを話した。

自身もウィキペディアの編集に携わってきた武蔵大学の北村紗衣准教授は「書く人たちに多様性がなければ、取り上げる人物の属性も偏る。執筆する女性が増えることで記事の質が高まる」と語り、ウィキペディア内の男女格差を是正する有用性を強調する。

北村氏は女性に関する記事が軽視されがちな傾向があるとも指摘する。英王室キャサリン妃のウエディングドレスについての記事や、ブラックホールの撮影プロジェクトに関わった女性科学者に関する記事など、歴史的に意義があっても作成後に他のアカウントから削除依頼が出されるケースが多いという。

参加者が書いた記事は午後の発表会で披露された。お手本として公開されたのは、81歳でスマホアプリを開発した若宮正子さん(84)に関する記事だ。会場を訪れた若宮さんは「職場では定年まで『そこの女の子』と呼ばれた。固有名詞で呼ばれることは本当に大事なことだ」と思いを語った。

イベントは14日に大阪市内でも開催され、今後もさまざまな国や地域で実施される予定だ。#wikigapのハッシュタグで幅広く参加を呼びかけている。

■参加型の利点生かして ~取材を終えて~
ある人物や事柄をインターネットで調べようとしたときに、検索結果のトップにウィキペディアの記事が出てくることは多い。その中で女性に関する記事がそもそも存在しなかったり、数が少なかったりすると、女性たちの活動が広く知られる機会は大きく限られ、ひいてはインターネット利用者の物の見方や世界観に影響を及ぼす可能性がある。
利用者がウィキペディアの編集体験を通じて「インターネットを通じて見る世界」のバランスを意識することは、こうした格差是正の第一歩となりそうだ。参加型の百科事典の利点を生かし、男女や年齢を問わずさまざまな人の活躍を知る機会を増やせるかが問われる。
(白岩ひおな)