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コマツは5Gを使ってブルドーザーの遠隔操作を実験(千葉市)

コマツは5Gを使ってブルドーザーの遠隔操作を実験(千葉市)

世界トップクラスの経営大学院、ハーバードビジネススクール。その教材には、日本企業の事例が数多く登場する。取り上げられた企業も、グローバル企業からベンチャー企業、エンターテインメントビジネスまで幅広い。日本企業のどこが注目されているのか。作家・コンサルタントの佐藤智恵氏によるハーバードビジネススクール教授陣へのインタビューをシリーズで掲載する。3人目は、製造業のマネジメントを研究するウィリー・シー教授だ。

<<(中)20年も前から「IoT」、データが生むコマツの競争力

佐藤 シー教授は製造業企業についての教材を多数執筆されています。テクノロジーとイノベーションの観点から見て、コマツの強みは何でしょうか。

収集したデータを統合する能力に強み

ハーバードビジネススクール教授 ウィリー・シー氏

ハーバードビジネススクール教授 ウィリー・シー氏

シー収集したデータを統合する能力だと思います。機械の設計、ソフトウエアの設計、データ・インフラストラクチャーの構築、それぞれに長けているメーカーはあります。ところが、これらの技術を結集したプラットフォームはそうそうないのです。コムトラックス(コマツが開発した建設機械の情報を遠隔で確認するためのシステム)は、コマツに多くのビジネスチャンスをもたらしたと思います。

佐藤 コムトラックスと競合メーカーのプラットフォームとでは、どこが違うのでしょうか。

シー 建設機械は、とても競争が激しい業界です。キャタピラーもプラットフォームの開発に多額の資金を投資していますし、ジョンディアもデータ収集とデータ分析ではリーダー的な存在です。ところがこれらのメーカーとコマツとの決定的な違いは、データを収集する目的です。

農業分野で使う機械で比較してみましょう。米国メーカーがデータを集める主たる目的は、顧客に「精密農業」(農地の気候や土壌、農作物の状態をきめ細かく観察・管理することで生産性と品質の向上をはかる農業管理手法)を実施してもらうことです。土壌の状態、雑草や病虫害の状況を正確に把握できれば、農作業者は「この肥料をもう少し減らそうか」「この土のサンプルを試してみようか」などと改善策を考え、施肥、防除などの作業を効率的に行うことができます。

一方、コムトラックスは機械の稼働率やコストパフォーマンスなど、顧客のオペレーションや生産性を改善することに注力しています。

佐藤 コマツといえば、中国で成功している代表的な日本企業です。「中国市場は難しい」と言われる中、なぜコマツは競合優位性を保ってきたのでしょうか。

シー コマツは他の日本企業よりもずっと早い段階から中国に進出しています。改革開放路線がはじまった直後の1979年から中国企業に技術をライセンスし始め、95年からは直接投資も行っています。中国ではその後、インフラ建設が急速に進み、現在も建設ラッシュが続いています。コマツは、どこよりも早く中国に進出していたため、この流れにうまく乗ることができたのです。

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