退職者、健康保険はメリット比べて 国保か任意継続か退職マネー学(中)

 国保の均等割は人数分の負担が必要なのよね。

幸子 そう。東京都の60歳のモデル賃金である年収660万円の夫婦世帯の保険料を社会保険労務士の井上大輔さんに試算してもらったの。まず任意継続の保険料は、標準報酬月額の上限である30万円で計算すると約42万円ね。国保は給与所得474万円から基礎控除額33万円を引いた441万円に、先ほどの医療分、支援分、介護分のそれぞれの保険料率(合計11.25%)を掛けて、所得割の金額を出すの。さらに3つの均等割(合計6万7800円)を人数分加えると、年間保険料は約63万円になるわ。

良男 同じ所得でも約21万円違うのか。任意継続を選ぶ方が有利ということか。

幸子 国保は前年の所得で保険料を計算するので、退職初年度は特に保険料が高額になりがちよ。この試算では東京都世田谷区の例を挙げたけど、市区町村ごとに保険料率と均等割の金額は違うの。ニッセイ基礎研究所の篠原拓也上席研究員は「全国の市区町村で3割ぐらいの差がある」と話しているわ。迷うなら健保と住んでいる自治体でそれぞれ保険料を見積もってもらうといいわ。妻に収入があるときは、その情報も持参しないと正確な保険料が計算できないので気をつけたいわね。

■任意継続、前納で保険料安く
社会保険労務士 井上大輔さん
退職後、勤務先の健康保険に任意継続で加入するなら、早めの手続きをお勧めします。20日以内に手続きが必要ですが、これは休日も含めた日程ですので注意しましょう。
会社員のときは給与天引きでしたが、任意継続では保険料を毎月、自分で納付します。払い忘れると、自動的に資格喪失となってしまいます。保険料は6カ月分または12カ月分を前納できます。前納だと4%の割引を受けられますので、加入し続けるつもりなら検討してもよいでしょう。
任意継続でも専業主婦の妻を扶養に入れることができますので、妻の分の保険料負担はありません。ただし、妻が60歳未満なら国民年金の3号被保険者から1号被保険者に変更となり、60歳まで国民年金保険料を支払うことになります。(聞き手は川鍋直彦)

[日本経済新聞夕刊2019年10月9日付]

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