Bリーグ開幕でサプライズ 「アリーナ落語」大作戦立川吉笑

Bリーグ開幕戦のオープニングセレモニーに登場した立川吉笑さん(19年10月3日、横浜アリーナ) (C)B.LEAGUE
Bリーグ開幕戦のオープニングセレモニーに登場した立川吉笑さん(19年10月3日、横浜アリーナ) (C)B.LEAGUE

こういう商売をしていると、時折思いがけない仕事のオファーをいただくことがある。落語界という特に狭い業界に軸足を置いて活動していると、どうしても小さくまとまってしまい、自分で制御できる範囲の仕事しかしなくなりがちだから、思いがけないオファーはなるべく引き受けることにしている。

慣れない仕事は心身ともにしんどいことも多いけど、その分やり遂げることができれば自分自身の成長を実感できることを経験則で知っている。外から落語界を眺める機会にもなり、忘れがちな初心を思い出すきっかけにもなる。

先日、依頼メールを見てその思いがけなさについ笑ってしまうくらいの仕事を引き受けた。男子バスケットボールのトップリーグ、Bリーグ1部の開幕戦を直後に控えたオープニングセレモニーが舞台。会場はなんと横浜アリーナ。そこで落語をやってほしいというのだ。

1万人規模、強豪対決、客席360度、生中継…

普段、僕が高座にあがるのは、50人とか100人くらいの会場がほとんど。大きくても300人くらいのキャパだ。一方、横浜アリーナといえば1万人規模の観客が集まる。未知の領域での高座になるのは明白だ。

会場の大きさだけじゃない。「開幕戦」「川崎ブレイブサンダースと宇都宮ブレックスという強豪同士の戦い」「360度、全方向に観客がいる」「テレビの生中継が入る」「持ち時間は3分30秒」「落語らしさを出しつつバスケのトピックも噺(はなし)に入れてほしい」とタフな条件が並んだ。注目度が高い試合で生中継されるのだから、絶対に失敗は許されない。通常は最低でも15分くらい欲しい持ち時間が圧倒的に短い。しかも時間厳守。さすがに「やります」と即答できず、数日間悩んだ。

何度かやり取りするうちに、Bリーグ事務局の方も、制作会社の方も、僕はもとより落語そのものを大事に思ってくださっていることが伝わってきた。そして本気で開幕戦を盛り上げたい、そのためにこれまでとは一味違う趣向として落語を演出に取り入れたいと思っておられることもわかった。それで僕も微力ながら尽力したいと思うようになった。

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