メーンの筆記具にしたい快適さ 個性派サインペン続々納富廉邦のステーショナリー進化形

他にも、摩耗しにくいペン先とか、水性ながら裏抜けしにくく、ぬれにも強い耐水性顔料インクの採用とか、筆記幅0.4ミリの細字タイプであるとか、セットのケースが専用ペンケースになるとか、文房具的な工夫も多く、サインペンを新しいユーザーに届けようとする情熱を感じる製品に仕上がっている。

線幅が0.4ミリとサインペンとしては細いので、手帳などの筆記にも使える。にじまず、スッキリした線なので、サインペンに慣れない人でも使いやすい

トンボ鉛筆「ABT」/絵筆のようなサインペン

トンボ鉛筆「ABT」1本300円+税。全108色。ブラシタイプのペン先+線幅0.8ミリポリエステル芯。水性インクの特徴を生かした、画材としても威力を発揮するサインペン

トンボ鉛筆の「ABT」は、公式サイトで「デュアルブラシペン」と紹介されているように、筆記具というよりは、ブラシ、つまり絵筆に近いサインペン。水性染料インクを使って、豊富な色数があり(なんと全108色)、鮮やかな発色とクッキリした濃い描線が特徴といったあたりは、「クリッカート」や「EMOTT」と同じだし、もともとサインペンは絵を描くのにも使われるのだけど、「ABT」は、その絵を描くペンの部分をより強調している。太くも細くも書ける筆タイプのペン先と、0.8ミリのポリエステル芯の2つのペン先を1本にまとめた、線画から塗りまで対応するサインペンなのだ。

片側は筆ペンタイプのブラシ型、もう片側はポリエステル芯のサインペンタイプと、2つのペン先を使い分けることが可能。1本で幅広い表現ができる

もちろん、一般的な筆記具的としても使うことができるし、その使い方をすれば表情のある線が書ける。色数が豊富なので例えばグレーだけでも14色から選べる。それはサインペンの筆記具としての器の大きさでもある。

青だけ、赤だけでも10種類以上から選べる、全108色は、高級色鉛筆並みのラインアップ。細かく色を重ねるような技法も使える

ただ、このペンの特徴は他にある。例えば色を混ぜたり、オプションの「カラーレスブレンダー」(水筆のように使える、透明のサインペン)を使うことで、キレイなグラデーションを作るといった、水彩絵の具で描くような表現が、とても手軽に得られるのだ。こういう表現ができるのもサインペンならではの面白さ。万年筆でも似たようなことは可能だけど、こちらのほうがずっと手軽なのだ。

オプションのカラーレスプレンダーを使えば、水彩画のようにインクをにじませたり、グラデーションを作ったりという表現も可能。また、色を重ねたり、塗りの濃さを変えたりと、絵画的表現も楽しめる

軸の色は黒が基調になっているのも画材をイメージさせる。軸が長いのも絵筆を意識したデザインだ。水性インクを使ったペンの使い方として、これもまた一つの方向性。トンボ鉛筆には、「プレイカラー2」や「プレイカラーK」といった、筆記を中心にした用途のサインペンも用意されている。それらを普段使いにしつつ、「ABT」の面白さにも触れてほしいと思う。

本当に鮮やかな発色で、文字を書いても読みやすい。画材としてだけでなく、1本で多彩な表現が行える筆記具としても楽しめる
納富廉邦
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人のカバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。

(写真 スタジオキャスパー)

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