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英国屋がオークラ東京店 老舗の技で海外富裕層を魅了

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2019.10.10

「The Okura Tokyo」(オークラ東京)に新規出店した高級スーツ店「銀座英国屋」が好調だ。9月12日の開店から約1カ月、目標の約140%の売り上げを確保したという。従来の富裕層に加え、オークラに宿泊する観光客のインバウンド需要を取り込んでいるのが特徴。生き残りをかけたアパレル各社の試行錯誤が続く中で、高級化路線を走る英国屋(東京・中央)の戦略を追った。




■6年ぶりの新支店、ホテル側から打診

同社が新たな支店を設けるのは6年ぶり。ホテルオークラ側から出店の打診を受けたのは昨年の新春だったという。同社の小谷邦夫副社長は「日本発のラグジュアリーホテルとして、海外富裕層にアピールするジャパン・メードの中核店舗が欲しいとの提案だった」と振り返る。

「オークラ東京」の目玉は1泊あたり平均約7万円の最高級ブランド「ヘリテージ」。宿泊する海外富裕層にとって、外資系のラグジュアリーブランドでは見慣れ過ぎてアピール度が足りないと考えたようだ。

ショッピングエリアの2区画を取得し、売り場面積は約130平方メートル

他方、英国屋は関西地域で百貨店に出店しているものの、ホテル内での販売経験は少ない。それでも進出を決めたのは、年収2500万円以上の内外富裕層が同社の顧客ターゲットだからだ。オークラ東京の宿泊客は銀座本店だけではカバーしきれない、潜在的な顧客層とぴったり重なると分析した。

■500種類の生地を用意、1カ月で仕上げ

オークラ店ではショッピングエリアの2区画を取得し、売り場面積は約130平方メートルとした。天井は約4メートルの高さで出入り口はガラス張り、じゅうたんも明るいベージュ色だ。本店の深々とした重厚な雰囲気と異なる店作りにした理由を「ゆったりした雰囲気で服を選んでもらうためだ」と小谷副社長。ホテル内での会食やスポーツクラブの利用の後で立ち寄る客が多いとみている。