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筑駒→東大法 大学5年で挫折したギタリストの夢

A.T.カーニー日本法人会長 梅澤高明氏

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

筑波大付属駒場中学・高校、東京大学法学部、米マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院で学び、クールジャパン戦略の仕掛け人、メディアで活躍する論客としても知られるA.T.カーニー日本法人会長の梅澤高明さん(57)には苦い挫折体験がある。

実は東大5年生まで本気でプロになることを目指してバンド活動に没頭していたのだ。「このままでは食えそうもない……」。現実の壁を悟り、自らの夢をスッパリと断ち切らせたのは、身近で活動していたギタリストの布袋寅泰さんやバンド「レベッカ」の大ブレークだった。

やがて日産自動車に入社するとマーケティングに目覚めて一念発起。MITでMBAを取得後、米コンサルティング大手のA.T.カーニーに移籍し、多国籍の環境下で頭角を現してゆく。「ビジョンがない道草だらけの人生だった」と回想する梅澤さん。単独インタビューを前半、後半に分けてお届けする。

鉄道・宇宙・遊び全般……、好奇心旺盛なオタク少年

――どんな家庭環境で育ったんですか。

「都市銀行に勤務していた父と専業主婦の母の間に生まれた一人っ子です。活発でいたずら好き。とにかく口数が多くて、小学校の成績表には『私語が多い』と6年間書かれていたくらい。漫画やテレビはそれほど見ませんでしたが、オタク体質で鉄道や宇宙に凝り、どんな遊びもマスターしないと気が済まないタイプでした。近所では僕が一番年下だったので、いつも上級生を相手にチャレンジしている。面白そうなことがあれば『交ぜて、交ぜて』と積極的に輪の中に入ってゆく。そんな好奇心旺盛なところは今も変わっていません」

小5の全国模試でショック、日進で猛勉強して筑駒・武蔵に合格

――筑駒、東大とエリート街道を進みますが、受験で苦労したことはありますか。

「学校の成績は良かったんですが、小5の終わりに初めて受けた全国模試でボロボロの結果を取り、ショックを受けました。『全国には猛者が大勢いるんだ』と悟ったんです。以来、有名塾の日進に入り、猛然と勉強を始めます。模試を毎週のように受け、問題集を解いているうちに、成績が自然に上がってゆきました。中学受験がだめなら地元の公立中学に行くつもりでしたが、筑駒と武蔵を受けて両方に合格。筑駒に進みます」

――筑駒ではどんな生徒でしたか。

「筑駒の校風は自由。カリキュラムが特別ではなく、生徒が各自で努力する学校でした。『平岡塾』など中高一貫の有名校の生徒が通う特別な塾があり、多くの生徒がそこで授業を先取りしながら勉強を進めてゆく。僕もそんなレールに乗っていたと思います。中学では平均的な生徒でしたが、高校になるとマージャンやロックに目覚めて一気にはじけます。授業をさぼり、駒場のジャン荘に友人と入り浸ったり、渋谷や青山のロック喫茶に独りで通ったり。学友とバンドを組み、ギターを弾くことにも熱中しました」

運命の「キッス」との出会い、中3でギター小僧に

――もともとクラシック音楽や歌謡曲が好きだったそうですが。

「小学校の間は自分から言い出してピアノを習っていました。歌謡曲が好きで、その年のヒット曲の譜面を毎年買い、ピアノで練習したりしていた。中学に入ると父親が買ってくれたレコードプレーヤーでクラシックを聞くようになります。ブラームス、ブルックナー、マーラー、シベリウスあたりは今でも大好きです。受験勉強を普通にやっていれば筑駒から東大に合格できると思っていたので、将来は東大のオーケストラに入り、バイオリンを弾くつもりでいました」

「ところが中3で運命を変える出来事が起きます。クラスの席替えでたまたま隣に座ったのがロック好きの風変わりなヤツで、話しているうちに互いの好きなレコードを交換してみようということになった。それで僕がベートーベン、彼がロックバンドの『キッス』を持ってきたんです。その瞬間、僕は『キッス』に完全にやられました。『これ格好いいじゃん』と目覚めてしまった。本当は翌週、バイオリンを買う予定だったのに、彼に神田の楽器屋に連れて行かれてエレキギターとアンプを買うことになります」

「ディープ・パープル」をコピー、筑駒・演劇部を乗っ取る

――それで友人とバンドを組むわけですね。

「初めてバンドを組んだのは高1の時。ロックが好きになった入り口は『キッス』でしたが、掘り進めてゆくと『キッスはチョロかったな』と気付き、『ディープ・パープル』にはまります。バンドでは『ディープ・パープル』の曲をコピーしながらリードギターを練習していました。ただリードギターにはうまい人が多いので、ベースギターも弾くようになります」

「バンド活動をしていて困ったのが、楽器を置いたり、練習したりする場所をどう確保するか。そこで目を付けたのが演劇部。筑駒の演劇部は野田秀樹さんを輩出するなど由緒ある部でしたが、僕らの時代は休眠状態だった。だからバンドのメンバー全員で演劇部の部員になり、部室を乗っ取り、バンドの部屋として使っていたんです」

成績は得意と苦手がはっきり、持続力で後半に巻き返すジャン風

――学校での成績はどうでしたか。

「得意と苦手がはっきりした凸凹型でした。理科や数学は得意だけど、現代国語や美術は苦手。社会など暗記を伴う科目も好きではなかった。英語はまあまあ。でも塾で授業を先取りして勉強していたので、受験では苦労することもなく、安心して好き勝手にやっていました」

――マージャンの打ち方には人間性が出るそうですが、どんなジャン風でしたか。

「僕はなるべくポン、チー、カンとは鳴かずに面前のきれいな手で上がるのが好きでした。だからめっぽう強いわけではない。僕よりうまい友人も結構いました。でも、大学に入ってからは、序盤で負けていても、明け方にはなぜか逆転しているのが僕の勝ちパターン。うまい人でも疲れると腕が鈍ってくるでしょう。逆に僕は持続力で勝負し、後半に巻き返すタイプなんです」

東大法学部の授業に幻滅、落第ギリギリの超低空飛行

――なぜ法学部に進んだんですか。

「中学では医者にあこがれていました。祖母を早くにガンで亡くしていたので……。でも高校の授業でカエルを解剖した際、自分には向いていないことが分かり、次に法律が面白そうだと考えて法学部に進みます。ところが東大の授業に出たら、すっかり幻滅してしまった。判例など昔のことを掘り返すばかりでまったく興味が持てない。もっと未来のことを考えたいのに……。それで法律の道は諦め、授業に出なくても試験さえ受ければ単位が取れる講座ばかりを選択しました。だから落第点ギリギリの超低空飛行。ゼミにも所属していないので卒論も書いていません。大学3年でオリジナルのバンド『G-SCHMITT(ゲー・シュミット)』を結成し、音楽活動に没頭する日々を送りました」

――「G-SCHMITT」とはどんなバンドですか。

「学外のメンバーと結成した、サブカル色の強い、オルタナティヴ・ロックの暗いバンドです。バンド名に深い意味はありません。単に語感と文字面が良かったから付けただけ。インディーズ系レーベルに所属し、年2回くらい全国ツアーを実施しながらEP盤やLP盤のレコードを計9枚出しました。プロを目指して本格的に活動していたんです。ただ、バンド活動だけでは食えないセミプロバンドでした」

音楽を諦めさせたのは布袋寅泰とレベッカ、大学5年で日産に就職

「東大を中退して東京芸大を受験し、音楽理論や作曲を勉強しようかと思ったこともあります。塾の講師や模擬試験の問題作成、採点などアルバイト収入がかなりあったので、バンド活動を続けながら、大学に6年は在籍するつもりでいました。ただ、衝撃を受けたのは、ライブでご一緒することが多かった布袋寅泰さんやバンドの『レベッカ』があっと言う間に大ブレークしたこと。『あ、プロで食っていけるのはこういう人たちなんだ』と思い知らされました」

「『G-SCHMITT』もそれなりに質の高い楽曲を作り、個性的なバンドだという自負はありましたが、『レベッカ』は僕らとは違い、誰にでも分かりやすく良い曲を書いてヒットしていたし、布袋さんは圧倒的にギターがうまかった。とにかくステージに登場した時に発散するオーラが半端なかった。彼らのおかげで僕も納得し、潔く音楽をやめられました」

――それで民間企業に就職するわけですね。

「はい。予行演習のつもりで大学5年の時に就活したら、都銀と日産自動車から内定をいただいたんです。自分は銀行員には向いていないし、スポーツ車が好きで中古の『フェアレディZ』などに乗っていたので、『自分の好きなクルマを作れたら楽しいな』と思って日産に入社しました。もし、あのまま音楽活動を続けていても、結局、プロとしては食べていけなかったでしょうね。運が良ければレコード会社や音楽プロダクションに拾ってもらい、今ごろはディレクターかプロデューサーになっていたかもしれません」

(聞き手は編集委員 小林明)

後半は10月18日に公開予定。

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