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あなたは大丈夫?消費税で還付金詐欺 巧妙になる手口 弁護士 志賀剛一

2019/10/10

「いやいや、クレジットカードやスマホ決済の場合にポイントとして還元されるだけだから、現金が戻ってくることはありえない。だから、だまされることはない」と言っている人もいます。大阪府警本部特殊詐欺対策室なども「増税に伴う還付金は絶対に無い。不審な電話があったら通報して」と呼び掛けているそうです。

■給付金も連絡は電話ではなく書類で来る

しかし、「還付」という名称でこそありませんが、「年金生活者支援給付金」という制度の施行が決まっています。これは、年金を含めても所得が低い人の生活を支援するために、この10月から年金に上乗せして支給されるものです。ポイント還元ではなく、現金が支給されるのです。

この給付金の受給条件を満たす人には日本年金機構から請求手続きに必要な書類が届くことになっていますが、この書類が届いた人たちから「詐欺ではないか?」という問い合わせが役所などに多く来ているそうです。「警察が『増税に伴う還付はない』と言っていたから」と書類が来ているのに手続きを放置する人もいるのではないかと逆に心配です。

受給要件を満たす人には、申請などしなくても自動的に給付を出せるようにできないものでしょうか。いずれにしても、このような連絡も、必ず「書類」で来ます。電話で案内が来ることはありませんし、ましてATMで手続きを行う必要は絶対にありません。

そのほか、全国の市区町村が住民税非課税の人や小さな乳幼児のいる子育て世帯に対して発行する「プレミアム付商品券」、あるいは複数税率対応レジや券売機の導入や改修、受発注システム、請求書管理システムの改修などに要する経費の一部について支給される補助金などもあります。

■詐欺被害は必ず防げる まずは相談

知識のない人が、それらしい説明を聞くと誤解しそうな施策がごちゃまぜになって一斉に施行されるのです。増税による税収確保にとどまらず、景気の冷え込み防止と中小企業対策、そしてキャッシュレス化の普及。種類や目的の異なる施策をこの機会にすべて一度にやろうとするから混乱が生じるのだと思います。

とはいえ、詐欺被害は必ず防げますし、防がなければなりません。特に高齢者の方へ。相手は様々なだまし文句で誘導してきますが、ATMに行かなければお金は移動しません。電話などに誘導されて絶対にATMに行ってはいけません。

少しでも不審に思ったら、お子さんやお孫さん、周囲の人に相談するか、消費者ホットライン(188)か警察相談専用電話(♯9110)へ電話相談しましょう。少しでもわからなかったり、不審に思ったりしたら、まずは相談してください。また、ネットバンキング利用者も油断できません。変だな思ったら必ず銀行のHPなどを確認してください。

志賀剛一
志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。

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