日経マネー

2019/10/18

野尻さんの定年1年生

(イラスト:平田利之)

そして3つ目の対策としては、退職後の生活費そのものを引き下げることです。長期的に見れば、高齢社会の進展で賦課方式である公的年金からの収入は、実質的に減少せざるを得ません。さらに、長引く低金利は資産の成長力そのものを弱めています。

このため、資産収入に過度に依存するわけにはいきません。となると、生活費の抑制は不可欠な対策と言えます。老後の生活費の中で大きな支出項目は、医療費、税金・社会保険料、食費といわれます。しかし、この3つのうち自分でコントロールできるのは食費だけです。これを減らして生活費を抑制すると、かなり情けない生活を自分に強いることになります。

私は節約生活が嫌いですから、食費を削ることはちょっと難しいと感じています。それよりも総合的に生活費を抑制するため、いっそのこと物価の安い地方都市に移住できないかと考えています。

定年後の移住は進んでいる?

この「仕事・運用・移住」が、最も重要な資産寿命を延ばす対策だと考えています。もちろん、人によってできることは限られます。長く働けない人もいるでしょう。資産運用なんてできないという人もいるはずです。今さら地方に移住したくないという人もいます。

でも現実的な対策はこの3つしかありません。長く働きたくない人は、資産運用や生活コストの引き下げを考えるしかありません。資産運用ができないと思う人は、少しでも長く働くことや地方都市への移住を考えるべきです。

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