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配当利回り6%超 JT株不人気の不思議(窪田真之) 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

2019/10/8

■売られる理由(3)~ESG投資の「逆風」

日本を含めた世界の年金基金などの間では、環境や社会的責任、ガバナンスを重視して銘柄選別する「ESG投資」の波が広がっています。JTは健康に害のあるたばこを販売しているという理由でESG投資の際、除外銘柄となることがあります。

以上の3つの不安材料でさえない株価が続いていますが、私は「売られすぎ」と考えます。理由を以下に述べます。

■不安材料(1)への反論~国内喫煙者減でも高収益を維持

事実として国内で喫煙者が減少する間もJTは値上げによって高収益を維持してきました。ちなみに10月に消費税が8%から10%に上がりましたが、JTはここでも値上げをしました。さらにM&A巧者のJTは、有利な価格で海外のたばこ会社を買収し、海外収益を拡大してきました。特にたばこ人口が増えている新興国が収益拡大に貢献しています。

■不安材料(2)への反論~次世代タバコでも巻き返し

次世代たばこでJTのプルーム・テックが米フィリップモリスのアイコスに負けている理由は明らかです。アイコスの方が吸い応えが強いのです。そこでJTは「プルーム・テック・プラス」「プルーム・エス」の2製品を新たに出し、巻き返しを図っています。共に吸い応えを強めアイコスに近づけています。次世代たばこの国内シェアが下げ止まれば、JT株に対する投資家の不安は和らぐと考えています。

■不安材料(3)への反論~「ESGディスカウント」で割安に

こう熱心に擁護していると私が愛煙家と思われるかもしれませんが、実はたばこは吸いません。ですからESGファンドだけでなく、個人投資家の間でもたばこを嫌って「JTに投資したくない人」がいるのもよく分かります。

ですが、投資と好き嫌いは別物。投資の世界で買い手が少ないということは、その分、株価が低迷し結果的に本来の企業価値よりも割安に放置されやすくなっている可能性があります。いわば「ESGディスカウント」が付いている状況です。長期のリターンを考えたときに見逃す手はありません。

JT以外でも大型の高配当株が増えています。三菱UFJフィナンシャル・グループや三菱商事、NTTドコモ、ブリヂストンなどです。こうした大型の高配当株は投資の好機と判断しています。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
窪田真之

楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト。1961年生まれ。84年慶応義塾大学経済学部卒業後、住友銀行(当時)入行。99年大和住銀投信投資顧問日本株シニア・ファンドマネジャー。2014年楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト、15年所長。大和住銀では日本株運用歴25年のファンドマネジャーとして活躍した。

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