配当利回り6%超 JT株不人気の不思議(窪田真之)楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

過去1年あまりの株価をみても同様に下落基調です。JTは16期連続で増配(1株当たり配当金を増やすこと)を予定しています。それでも株価が下げ続けているため、予想配当利回りは逆に上昇を続けています。10月3日時点では6.6%に達しています。

過去1年のJT株の予想配当利回りの推移

(楽天証券経済研究所が作成)

【注】予想配当利回りの計算方法
JTが開示している会社予想の1株当たり年間配当金を株価で割って算出。10月3日時点で19年12月期の会社予想の1株当たり配当金154円を同日の株価2342円で割ると配当利回りは6.6%となる。1株当たりの配当金予想が変わらなければ、株価下落は配当利回り上昇につながる。

安定高収益企業だが……

国内の喫煙人口が減少していく中、JTが衰退していくイメージがあるかもしれません。でも実際は安定高収益企業です。営業利益率(18年12月期実績)は25.5%と高収益であり、自己資本比率も48.2%と財務も良好です。自己資本利益率(ROE)も14.3%と極めて優秀。これだけみれば安定高収益の高配当利回り株として評価されていいはずです。

しかし、株式市場での評価は高くありません。それには3つの理由が考えられるでしょう。

売られる理由(1)~国内での喫煙者減少

他人の喫煙で出たたばこの煙を吸入してしまう「受動喫煙」を防ぐ法律が強化されつつあります。18年7月に健康増進法の一部が改正され、19年7月には学校・病院などの敷地内が原則禁煙となりました。20年4月には全面施行となり、全ての建物の屋内が原則禁煙となります。喫煙可能なのは、喫煙を主目的とする店舗(バーやスナックなど)や公衆喫煙所、屋内に設けた喫煙スペース(喫煙室)に限られます。なお喫煙室には標識の掲示が義務付けられ、20歳未満の立ち入りが禁止されます。

東京都は国の規制をさらに強化し「東京都受動喫煙防止条例」を制定しました。20年4月から全面施行され小規模の外食店で実質的にほとんど喫煙ができなくなる可能性もあります。こうした一連の規制強化を受け、国内の喫煙人口はさらに減少が続く見込みです。

売られる理由(2)~次世代たばこでの出遅れ

米国や日本などで紙巻きたばこに代わって加熱式や電子式の次世代たばこの普及が進んでいます。紙巻きたばこは葉を燃やしてその煙を吸うため、副流煙が周囲に広がる問題がありますが、次世代たばこは火を使わず副流煙が出ません。世界的に禁煙や分煙が進む中、特に米国と日本では次世代たばこに乗り換える人が増えています。

その主戦場でJTは国内で次世代たばこ「プルーム・テック」を販売していますが、日本ではフィリップ・モリス・インターナショナルの「アイコス」の方が人気があり、プルーム・テックのシェアは低下気味です。次世代たばこでの苦戦が将来の不安材料として意識されています。

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