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女性の目で農業に新風 異業種経験がヒット商品を生む

2019/10/8

足達さんの大紺屋農園では、タイ野菜など海外原産の野菜を年間80種類生産する(9月下旬、千葉県南房総市)

食の多様化が進むなか、女性が経営する農家が存在感を高めている。異業種で培った視点を存分に生かしているのが特徴で、農業界の風土や働き方に新しさをもたらしている。女性の参入が増えることで、生産者が加工から販売まで一貫して手がける「6次産業化」も広がりそうだ。

JR常磐線の赤塚駅から車で約20分走ると、赤や黄色のつややかなフルーツトマトを生産するドロップ(水戸市)に到着する。広さ5千平方メートル、12棟のハウスで年約40トンを生産する。主力の「ドロップファームの美容トマト」のトマトやジュースは三越日本橋本店(東京・中央)など大手百貨店やネットなどの販路で毎シーズン売り切れる人気商品だ。

経営するのは5歳の娘をもつ三浦綾佳社長(30)。出産を機に未知の農業界に飛び込んだ。前職で身に付けたノウハウを生かし、ミニトマトを上回る糖度を持つトマトをブランディングする。女性目線の商品企画が強みで、百貨店向けとスーパー向けでパッケージを区別するなど徹底的にこだわる。

出産を契機に農業に飛び込んだドロップの三浦社長(水戸市)

従業員は三浦社長の夫以外全員女性で、8人が子育て中だ。朝9時から働いて夕飯準備前の15時に切り上げるパート女性や、朝6時から15時まで働き、その後を自分の時間に充てる独身女性もいる。

家族との時間を大切にしながら自身も成長できる働き方を模索し、出合ったのが農業だった。夫と起業した広告代理店では、夜の電話で翌朝までの作業が必要になることも多く、子どもが寝た後も働いた。農業は人が相手ではないため時間の融通が利き、今は18時に仕事を終える。

同社はハウス栽培で、未経験者でも糖度の高いトマトを作りやすい特殊なフィルムを使った農法を採用する。温度や湿度、日射量をあらかじめ設定し、スマートフォンを使い遠隔で確認する。「環境制御を機械に任せられる分、肝になる品質管理や商品開発に時間を割ける」(三浦社長)

ブランディングなどをSNSなどで発信するうち、男性農家から女性採用の相談を受ける機会も増えた。「子ども連れで面接に呼ぶといいですよ。子どもを前に母親は本性を隠せません」。自らの体験を踏まえて助言すると、採用成功の報告が入った。21年にもハウスを2倍に広げるなど事業も拡大基調にある。

農林水産省の「2015年農林業センサス」によると、女性が経営者の農家は全体の6.7%だ。一方で販売額が大きかったり、多角化に取り組んだりする農家ほど女性の経営参加が多い。農産物販売額が300万円未満の農家で女性が経営に参加しているのは43%だが、1000万円以上だと65%を超える。

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