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タニタの谷田千里社長

タニタの谷田千里社長

真の働き方改革か、それともブラック企業の新手法か――。健康機器大手のタニタ(東京・板橋)が2017年に始めた「働き方改革」が賛否両論を巻き起こしている。「日本活性化プロジェクト」と銘打った制度では、独立を希望する社員は退職、新たに「個人事業主」として同社と「業務委託契約」を結び、それまで行っていた仕事を「基本業務」として担当する。同社の谷田千里社長に、新制度導入の狙いや「規制逃れではないのか」といった疑問についてただした。

――新制度についてまとめた単行本「タニタの働き方革命」を6月に出版した直後から賛否さまざまな論議が湧き起こりました。反響をどのように受け止めていますか。

「賛否が分かれることは予想していましたし、出版によって働き方改革論議に一石を投じたいと思っていましたので、まさに狙い通りです。働き方改革について議論する国の諮問機関からまだ声がかからないのが残念ですが(笑)」

――新制度はどんなきっかけで導入したのですか。

「構想は私が社長に就任した2008年から温めていました。当時は、会社の業績も下がり、リーマン・ショックも重なって、私自身、相当な危機感を感じていました。厳しい時代を生き残っていくには、優秀な人材に『ここで働き続けたい』と思ってもらえる組織にしなくてはならない。そのためには彼らの『報われ感』を最大にする仕組みが必要だと考えたのです」

――働き方改革の論議が、残業規制の話に偏っていることにも違和感を感じていたとか。

「はい。もちろん長時間労働を放置していいとは思っていません。ただ、1日8時間きっちり働くのは是で、それ以上働くのは悪であるかのような単純な話にしてしまうのは、いかがなものかと思っていました。本来、働き方改革は、労働人口が減る中で、一人一人が持てる能力を最大限発揮して活躍できるようにしよう、そのために生産性を高めよう――という話だったはずです」

頑張るのを応援し、きちんと報いるのが狙い

「生産性を考えるときに、時間の長短以上に大事なのは、主体性の問題だと思います。同じ時間働くのでも『やらされている』と感じれば、ストレスもたまりますし、効率も下がる。度を過ぎれば心の健康にも悪影響を及ぼします。反対に『自分の能力を伸ばしたい』『この仕事をやり遂げたい』と主体的に取り組む人は、限られた時間に最大限のアウトプットを出そうとするでしょう」

「今回導入した制度は、そういう主体性のある働き手が頑張るのを応援し、きちんと報いるのが狙いです。タニタとしては、そういう優秀な人材に働き続けてもらいたい。そのために働き方を自由にし、手取り額を増やすことで『報われ感』を最大化しようと考えました」

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