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体脂肪計・体組成計の製造販売から「タニタ食堂」の運営まで、さまざまな健康サービスを手がけるタニタ(東京・板橋)。同社が導入した社員の個人事業主化を支援する「働き方改革」が話題になっている。谷田千里社長は「残業削減だけでは企業も日本経済も活性化しない」「主体的に働けて、報酬面でも報われる仕組みを作ることこそ真の働き方改革」などと持論を展開。これに対し「大賛成」「もっと広がってほしい」との声が上がる一方、「体のいいリストラでは」「規制逃れではないか」といった批判も起きた。果たしてその真相は。賛否両論を巻き起こしたタニタの働き方改革を4回シリーズで取り上げる。第1回は「前代未聞・タニタ版働き方改革の全容」だ。

(2)「会社の顔」が個人事業主に タニタ改革の満足度 >>

「私タニタ公式は、株式会社タニタを退職してフリーランスとなりました。そして、引き続きタニタ公式を担当しております。このような働き方をしている者がタニタには数10名います」――。この夏、29万人のフォロワーを抱える同社公式ツイッターの「中の人」がつぶやくと、「どういうこと?」「中の人が外の人?」とネットがざわついた。

独立するか否かは選択制

タニタ社内では、今回話題となっている仕組みを「日本活性化プロジェクト」と呼んでいる。導入は2017年1月。自社だけでなく、日本全体の活性化に貢献したいという願いを込めて名付けた。

新制度の狙いは「優秀な人材がより主体性を発揮できるよう支援し、努力に報いること」。人工知能(AI)が台頭する時代に求められるのは、与えられた仕事をきっちりこなすタイプより、自ら仕事を生み出し、AIにはできない価値を提供できる人材。そうしたポテンシャルを持つ社内の人材に、より自由に働きながらスキルを高めてもらい、報酬面でも報いる。そうすることで、個人も会社も成長するのが、究極の目的だ。

仕組みはシンプルだ。独立を希望する社員は会社に申し出て、収入の見通しなどについて協議。納得すれば退職し、個人事業主となる。独立後は会社と新たに「業務委託契約」を結び、基本はタニタで働き続けながら、他社の仕事も請け負えるところがミソだ。

応募するのに職種や勤続年数などの条件はない。1年目には、「中の人」を含む8人が志願し、独立した。年齢は30歳代前半から50歳代前半まで、職種も営業から総務、開発、ウェブサイトの企画・運営、新事業企画までと幅広い。2年目となる18年には11人が加わり、19年には8人が参加。1期のうち1人がコンサルティング会社に転じたため、現時点で26人が個人事業主になっている。

同社によると、この制度はあくまで「選択制」なので、従来通り社員のままでい続けることはもちろん可能だ。会社が独立を強制することは一切ない。

「会社員」と「フリーランス」の中間

「活性化プロジェクトメンバーは、『会社員』と『フリーランス』の中間的存在。両者のいわば『いいとこ取り』です」

そう説明するのは、同社のブランディング推進部副部長の山本耕三さん。彼自身も活性化プロジェクトの2期生だ。

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