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パソコン買うなら量販店より大学生協 その理由とは 学生消費 裏からみると…(1)

常見陽平(千葉商科大学専任講師)

2019/10/7

この他にも、大学生協で購入すると「リポートが書けるようになる講習会」やリポート提出時期前のPC故障予測診断を含めた無料の「パソコン点検会」などのイベントに参加することができることも魅力だ。

■「未来の長期顧客」に工場の見学会まで実施

購入した製品がいかに安心できるものなのかを納得してもらうために、一部のメーカーと組み、工場見学会まで実施している。パナソニックの人気ノートPC、レッツノートの工場見学会などがそれだ。一橋大学の生協などがこの企画を実施した。2日かけて、レッツノートを生産する神戸工場と、パナソニック本社(大阪)にあるPC修理窓口などを見学する。

この見学会では、落下実験や、キーボードにシャワーで水をかける実験なども行われる。設計を担当したパナソニックの社員まで同席し、こだわりのポイントについてプレゼンする。学生からもその場で意見を吸い上げる。当日は、レッツノートの大学生に対する強みや弱み、取り巻く環境から機会と脅威を分析するSWOT分析のワークも実施された。パナソニックとしては、ニーズを吸い上げることができるし、学生もレッツノートの魅力を再確認することができる企画である。

参加した学生は友人・知人に伝えるので、口コミ効果も期待できる。

大学生のお客さんであふれる大学生協

大学生協は、学生のPC選びのポイントをどのように捉えているのだろうか?前出の中原氏からは意外な声がかえってきた。

「そもそも、学生はPCの選び方を知らない。何を買っていいのかわからない」状態なのだという。身も蓋もないようで、これは正論ではないか。学生も、多くの場合大学に入るまでにPCに触れる機会が少なかったのだから、当然だ。

「これがほしい!」「こういうことがしたい!」というものがない。このこだわりがある人は大学生協では買わない。最終的には、大学生協がおすすめする品や、専攻したい分野の研究室が推奨するスペックのものに落ち着くことが多いとのことだが。このようにやりたいことがわからない、不安な学生に寄り添うことに、現場で学生と接するスタッフはこだわっているのだという。

最近の動きでは、各大学でノートPCの必携化という動きが始まっている。常に持ち歩き講義や学習で使用する環境になる。長年培ってきた、各メーカーとの信頼関係のもと、学生のニーズを捉えた商品やサービスの提案をしていかなくてはならない。安定的に供給を受ける環境づくりも必須だろう。安心、安全。これが選ばれるキーワードだ。心理的にも、経済的にも、学生に寄り添っているからこそ、選ばれるのだ。

常見陽平(つねみ・ようへい)
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。

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