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骨や肉まで真っ黒なニワトリ ここまで黒いのはなぜ

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

インドネシア原産のニワトリ品種「アヤム・セマニ」は、地球上でもっとも色の濃い生物かもしれない。羽だけでなく、くちばし、とさか、骨、そして肉までもが真っ黒なのだ。

ほかにも「烏骨鶏(うこっけい)」や、ベトナムの「フモン」、スウェーデンの「スウェディッシュ・ブラック・チキン」も同様に黒い皮膚や組織をもつ。これは黒色色素が過剰に沈着している状態で、科学的に「ファイブロメラノーシス」と呼ばれている。

なぜ、このように黒いニワトリが誕生したのか。

「ゲノムで複雑な並び替えが起こっていることがわかっています」と、家畜の遺伝子について研究しているスウェーデン、ウプサラ大学の遺伝学者リーフ・アンデション氏は語る。

氏によると、前述の4つのニワトリはいずれも、数百年前、あるいは数千年前に生きていた1羽の鳥にさかのぼることができるという。「ファイブロメラノーシスの原因となった突然変異はあまりにも特異なので、これが起きたのは1度しかないと確信しています」

肉や骨まで黒くなる理由

インターネットで探せば、黒いヒョウやサーバル、黒いフラミンゴ、黒いウロコのヤモリやヘビなど、さまざまな黒い動物を見つけることができる。だが、アンデション氏が研究しているニワトリは、色素の沈着がまったく違うレベルで起きているという。

ほとんどの脊椎動物は、エンドセリン3(EDN3)という遺伝子を持っている。この遺伝子の大きな役割は、皮膚の色を決めることだ。通常のニワトリの場合、発達の過程で皮膚や羽嚢(うのう)などの一部の細胞でEDN3が発現し、色を作成するメラニン芽細胞の移動が始まる。

しかし、色素過剰沈着が起こるニワトリでは、体中のほぼすべての細胞でEDN3が発現する。そのため最大10倍のメラニン芽細胞が生成され、骨や内臓まで真っ黒になる。

「つまり、行き先がおかしくなるのです」とアンデション氏は言う。「たくさんのエンドセリン3が間違った場所で発現すれば、色素細胞も間違った場所に移動してしまいます」

幸運にも、この変異には健康面での副作用はなかったようだ。

それどころか、黒いニワトリはブリーダーや美食家に珍重されるようになった。彼らの間では、黒い肉や骨には独特で豊かな風味があると言われている。

黒いニワトリの過去と現在

黒いニワトリの謎は科学的に解明されたが、これらの品種の歴史はまだ解き明かされてはいない。

黒いニワトリについて初めて記したのは、マルコ・ポーロだと言われている。1298年、アジアを旅行していたマルコ・ポーロは、「ネコのような黒い毛を持ち、最高の卵を産む」と記している。確かなところはわからないが、この説明は烏骨鶏を指すものと考えられている。

その後、この珍しい色のニワトリは珍重され、世界に広まったものとアンデション氏は考えている。ある船員が東アジアの交易から戻ってきたときに黒いニワトリを持ってきたという逸話もある。黒いニワトリがヨーロッパにもいるのは、そのためかもしれない。

「人間が多様な家畜を好むのは間違いないと思います」とアンデション氏は話す。同氏は烏骨鶏の羽の遺伝子の由来についても研究しており、現在はニワトリのとさかの成長について研究している。

黒いニワトリが生まれたのは何世紀も前のことだが、このニワトリが珍しいことには変わりない。

たとえば、先に紹介した4種のうち、烏骨鶏だけはアメリカ家禽協会(APA)の品種標準に掲載されており、ショーに出展することができる。APAの理事長であるジョン・モナコ氏によると、この標準に掲載するために必要な手続きには数年かかることもあるという。

「アヤム・セマニは古くから存在する種ではなく、知られ始めたのも最近のことです」とモナコ氏は言う。「しかし、烏骨鶏はあちこちにいます。さまざまな変種が存在し、ショーで優勝する鳥もいます」

アンデション氏は、黒いニワトリ品種はすべて「勝者」だと、著書で述べている。これほどの色になるのは一般的にとても珍しい。「ふつうは不完全な部分があって、白い斑点や色素の不足などが生じるものです」

黒いニワトリが生まれたのは、偶然のたまものだ。しかし、それを育てて広めたのは、人間の選んだ道だ。「ほんとうに面白いのは、その点だと思います」とアンデション氏は語る。

(文 JASON BITTEL、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年9月22日付]

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