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中古人気で広がる住宅診断 「かかりつけ医」の役割も

2019/10/6

診断結果では不具合を指摘し、補修の方法や費用をアドバイスします。最近は購入後も不具合を相談する「かかりつけ医」としての利用や、購入やリフォーム時のセカンドオピニオンとしての利用も増えています。

日本ホームインスペクターズ協会の長嶋修理事長(さくら事務所会長)は「築年数に関係なく、物件の状態を見極めることが大切。住宅診断で見分けられれば、よい買い物ができる」と話しています。

■長嶋修・日本ホームインスペクターズ協会理事長「個体差見極め、良い買い物を」

不動産コンサルタントで、住宅診断の業界団体、日本ホームインスペクターズ協会理事長を務めるさくら事務所の長嶋修会長に聞きました。

――住宅診断はどのくらい普及していますか。

長嶋修・日本ホームインスペクターズ協会理事長

「業界として定量的なデータはないが、さくら事務所への依頼は年間2500件ほど。毎年10~15%のペースで安定的に伸びている。9割が買い主からの依頼だ。マンションについては新築と中古の取引量が逆転した。ある程度、築年数がたっている物件でも状態を見極めようという方が増えている」

「米国では中古住宅の流通で、住宅診断の実施率が7~9割と当たり前になっている。日本でも法改正で2018年から宅建業者が買い手に住宅診断をあっせんできるようになった。しかし住宅診断に詳しくない宅建業者が多く、診断すると結果を説明しなければならないため、実施しないよう話を運ぶことが多い」

――中古住宅を選ぶ人も増えてきました。

「金融機関に中古住宅の購入とリフォーム、リノベーションの融資のラインアップがそろってきた。一方で首都圏のマンションは新築の販売戸数が激減し、ピーク時の年間8万戸が今は3万戸。大規模化、タワー化、高額化が進み、高根の花になっていることもあって中古に向かっている」

「国土交通省も中古流通を促す取り組みを進めている。まず中古物件のいろいろなデータを一元的に見えるようにして、取引しやすくする。その次に来るのが実際の築年数に関係なく、建物の状況で判断する仕組みだ。住宅を購入する際、物件の価値は最終的には金融機関の評価で決まる。今は、新築が一番高く、10年で半値、25年でほぼゼロになる。築40年でも状態がよい物件を築10年として扱うことができれば、経済的な耐用年数が伸びることになる。ここまで持っていくのが1つのゴールだ」

――中古流通や住宅診断はさらに増えますか。

「米国では1990年代後半から中古市場流通が盛り上がってきて、それと軌を一にするように住宅診断が普及した。米国でインスペクターズ協会が作られたのが70年代。そこから火がつくまで25年くらいかかっている。日本では協会の設立は2008年でまだ10年。米国より速く普及させたい」

「住宅診断士も日本はまだ少なく、今、登録している人は約1700人。全員が実務をやっているわけではなく、副業的にやっている人や、スキルアップのために資格を取っている人もいる。北米では住宅診断士は2万4000人いる。人口規模、世帯数の規模を考えると、日本では8000人から1万人いてもおかしくない」

――これから住宅を買うなら中古ですか。

「新築でも中古でもよいが、経済合理的なことを言えば、今は建物の評価システムが整っていない。先ほども触れたが、建物の価値は築10年で半分、築25年でゼロになる。しかし同じ中高年でも健康状態に違いがあるように、住宅にも個体差がある。住宅診断でそれを見分けることができれば、よい買い物ができると思う」

(編集委員 斉藤徹弥)

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