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病気の情報はまず図書館で 病院連携で専用コーナーも

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日経Gooday(グッデイ)

図書館でがんなどの医療・健康情報を発信しているところが増えている。国立がん研究センターは、日常生活に密着した場所の中で、がんの情報を得られる環境づくりの一環として、図書館と病院が連携するプロジェクトを進めている。「図書館であればインターネットが苦手な60代以上の患者でも落ち着いて情報を得られる」「病院と違って、病気になる前から身近な場所で医療・健康情報に触れられる」などのメリットがあるようだ。

図書館で今何が起きているのか。自身もがんになったライター・福島恵美が、国立がん研究センターがん対策情報センターの八巻知香子さんに、図書館との連携プロジェクトや図書館活用法について聞いた。

◇  ◇  ◇

元気なうちに、図書館で信頼できる情報に触れる

「自分は健康。だからがんになるはずはない」と思っている人は、多いのではないだろうか。かくいう私もその一人。ところががんになり、自分の場合は告知されてから抗がん剤治療が始まるまでの期間は約2週間だった。その間、インターネットでがんのことを調べたけれど、冷静な状態で情報収集できたとは言い難い。

「医師からがんだと言われ、動揺している時は、『こうすれば治る』など耳に心地よい言葉に引っ張られ、冷静な判断がしにくいものです。元気な時にこそ、もし病気で困ったらどこに行けば信頼できる情報に触れられるのか、"情報の入り口"を知っておくことが大切。そうすれば、落ち着いて必要な情報を探せます。私たちは、日々の生活の中でがんの情報を届けることが必要だと痛感し、身近な公共施設として誰もが利用できる図書館と医療機関が連携するプロジェクトを進めています」と八巻さんは話す。

ではなぜ、がんの情報収集をするのに図書館が適しているのか。

「もともと図書館はゆっくり本や資料を読むことができる落ち着いた空間があり、図書の専門家の司書がいて、市民らが必要としている情報を届ける機関です。2000年前後から課題解決型図書館として、地域住民の生活の課題を助けるための図書や企画を提供する図書館が増えてきました。その課題の一つが医療・健康分野。これらの資料や、病気別に分類した闘病記などの本をそろえる図書館ができてきたのです」(八巻さん)

異なる3地域をモデルに連携の仕方を模索

国立がん研究センターは、2014年度から3年間、医療・福祉・図書館が連携する、情報弱者向けがん情報ツールの作成と普及プロジェクトに取り組んだ。大阪府堺市、神奈川県逗子市、北海道日高地域の3エリアをモデル地域に選び、がんの情報を普及させるための連携の仕方を模索。それぞれの地域の特性を踏まえ、図書館、医療機関、自治体などと一緒に何ができるのかを検討した。

例えば堺市の場合。

国立がん研究センターは、点字図書館がある堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センターとの間でがん情報の普及に向けた協定を2012年に結び、ウェブサイト「がん情報サービス」の中でがんの冊子などを音読した音声資料を公開している[注1]。そのつながりから、堺市立図書館、市内にある2つのがん診療連携拠点病院[注2]、堺市の健康医療推進課とも一緒に活動を始めた。

「具体的には、がんに関する講演会の共同開催や、行政担当者と図書館職員がコラボしたがんについてのチラシ作成、堺市立健康福祉プラザでのがんの講演会や出張がん相談会などです。病院ではない場所での相談会は、緊張感が薄れて気軽に話ができるようでした」(八巻さん)

この事業は2016年度で終わっているが、連携のネットワークは残り、地域ぐるみの協力関係は続いているという。

図書館と病院が連携する福岡県の好事例

図書館司書と、がん診療連携拠点病院にあるがん相談支援センターの相談員を対象にした「連携ワークショップ」も、国立がん研究センターは実施している。地域住民への医療・健康情報の提供に関する連携のあり方を話し合うのだ。

このワークショップが九州で行われたのを機に、積極的に連携しているのが福岡県の飯塚市立飯塚図書館と飯塚病院、社会保険田川病院。定期的にミーティングを重ね、連携を発展させている。

飯塚市立飯塚図書館での主な取り組みを見てみよう。

●館内に「がん情報コーナー」を設置し、「予防」「治療法」「生活」の3つの切り口で棚を作成
●「予防」として、がん検診の案内チラシなどを用意
●「治療法」では、がんの治療法が書かれた書籍を中心に配置。国立がん研究センター発行の「がんの冊子」なども展示・提供
●「生活」では、療養中や療養後の生活に参考になる闘病記や就労支援などの本、チラシ類を展示・提供
●飯塚病院と社会保険田川病院にあるがん相談支援センターの案内や、両院の患者会を紹介
●がん関連の新聞記事のスクラップを作成
●図書館を会場にしたイベント「飯塚図書館まつり」で、がん相談支援センターの相談員による出張相談、がん情報のブース展示などを実施

[注1]https://ganjoho.jp/public/index.html ※サイト画面にある「音訳・点訳資料」のところ。がんの冊子などを音読したファイルがあり、パソコンやスマートフォンなどの再生ソフトで聞ける

[注2]全国どこに住んでいても適切ながん医療が受けられるよう、全国436カ所 (地域がん診療病院43カ所を含む。2019年7月1日現在)に設けられた病院。院内には「がん相談支援センター」があり、患者や家族、地域住民らの相談に応じ、がん診療に関わる情報を提供している。

飯塚市立飯塚図書館の職員、田中宏尚さんは「図書館がより身近にがん情報に触れられる場所になってほしいという思いで、がん相談支援センターの皆さまとの連携のもと、がん情報サービスに取り組んでいます。がんについて知りたいことができた時に、『そういえば図書館にがん情報コーナーがあった』『図書館で調べてみよう』と思っていただける図書館になれればと考えています」とがん情報を発信する思いを話す。

司書の力を借りてがんの情報収集を

実際に病気のことを調べに図書館に行くと、医療関係の本がずらりと並んでいる。中には、「○○でがんが消える」というような、怪しさを感じつつも、藁(わら)にもすがる思いにいる時には思わず手に取りたくなるタイトルの本もある。

「図書館では利用者の"知る権利を守る"ことが大事にされているので、読みたいというリクエストがあれば基本的に購入が検討されます。ただ、利用者が望む資料の提供は図書館理念からすれば当然とはいえ、そうした資料の中には、医療者から見ると明らかに医療の常識を逸脱しているものもあります。でも、さすが司書さんたちは情報探しを手伝うプロで、内容がちょっと怪しいと感じる本は、購入しても後ろの書庫に入れてしまう図書館もあったりします。どの本を選べばいいのか迷ったら、『このような資料はないですか』と、ぜひ司書さんの力を借りてください。信頼できる情報を推薦してくれます」と八巻さん。

「がん情報ギフト」コーナーを設けている図書館[注3]など、病院との連携が確立している図書館であれば、資料だけでは答えられない相談は、がん相談支援センターをはじめとする医療機関の相談窓口にもつなげてくれるという。

がん情報ギフトとは、国立がん研究センターが発行する各種「がんの冊子」を図書館に寄贈するプロジェクトで、2017年から始まっている(「がんの冊子」は、同センターが運営するウェブサイト「がん情報サービス 」でもPDFが公開されており、誰でも利用できる)。寄付金を得て冊子の活用を希望する図書館に贈っており、2019年度中に累計300館ほどに迫る見通し。この寄付事業では、消費者が自分が寄贈したい都道府県を選んで1000円からの寄付が可能。「がん情報ギフトを通じて、苦しかった時に情報に助けられた方の思いや、病気がもたらす様々な苦労を越えた方の思いなど、"思い"が回っていくような仕組みに育てていきたい」(八巻さん)

身近な場所の図書館で、がんの確かな情報である「がんの冊子」を手に取れるのは便利なことであり、インターネットが使えない人にとっては貴重な情報源だ。がん情報ギフトへの支援、図書館でのがん情報の広がりに期待したい。

(ライター 福島恵美、カメラマン 村田わかな)

[注3]「がん情報ギフト」コーナーを設けている図書館は国立がん研究センターの「届けるを贈る 届けるを支える『がん情報ギフト』プロジェクト」のページを参照https://www.ncc.go.jp/jp/d004/donation/ganjoho_gift/index.html

八巻知香子さん
国立がん研究センターがん対策情報センター医療情報評価室室長。2006年東京大学大学院医学系研究科にて博士(保健学)取得。2002年国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所流動研究員。05年日本学術振興会特別研究員。08年国立がんセンター研究所腫瘍ゲノム解析・情報研究部/がん対策情報センターがん情報・統計研究部研究員。11年国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報提供研究部医療情報サービス研究室研究員(組織改変による)。14年から現職。

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