謙遜はご法度 組織を生き抜く女性の暗黙のルール10
人生100年時代。会社で長く働き続ける人も多いはず。会社という組織で必要なことは何か。実はそこにはルールが存在する。そこで人材育成のプロが教えてくれた、組織で賢く生き抜くための「暗黙のルール10」を紹介する。
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働き方改革や人工知能(AI)の台頭など、仕事の在り方が急速に変化するなか、働く女性が組織で賢く生き抜くには、「踏まえるべき見えないルールが存在する」と、アルファ・アソシエイツ代表取締役の藤原美喜子さん。「真面目でコツコツ頑張るタイプは指示待ち型になりがち。しかし、これからの企業で求められるのは、イノベーションを生み出せる人。自分の意見を持って仕事に臨む習慣をつけておくことが重要です」。
また、多くの女性に共通するのが、「自信のなさから来る自己評価の低さ」だと指摘。「謙遜しすぎると正当に評価されず、活躍のチャンスを逃します。面談などでは自分をしっかりアピール。やりたいことができると仕事が楽しくなり、つらいことがあっても乗り切れる。管理職への挑戦も視野に入れ、長く幸せに働ける未来図を描いて」。
【ルール1】社内人脈は広いほうがトク!
部署を超えた交流を意識し、社内人脈を広げよう。「違う視点から意見をもらうことで、仕事のヒントも得られます。他部署を巻き込んだプロジェクトなども有利に進められ、管理職になったときに大きな武器になりますよ」。
<明日からできること>社内の人とエレベーターやトイレで会ったら、雑談を
自分から積極的にコミュニケーションを取ろう。その日の天気など、他愛もない雑談でOK。笑顔も忘れずに。
【ルール2】第一声で「ノー」と言わない
仕事を振られたとき、管理職を打診されたときなど、「できません」「無理です」と即答するのは×。「やる気がないと捉えられてしまいがち。受けられない事情があれば、きちんと説明をすることが大事です」。
<明日からできること>仕事を依頼されたら、まずは「ありがとうございます」
最初に「ありがとうございます」の一言があるだけで、ポジティブな印象に。受けられない理由はその後で。
【ルール3】評価面談では謙遜はご法度
「謙遜ばかりしていると、正当な評価が得られません。評価面談の場では大人の対応をし、きちんと成果をアピール。『会社のためにこんな貢献ができます』『こんなことをやってみたい』という熱意も併せて伝えましょう」
<明日からできること>「やりたいこと」をすぐ答えられるよう準備
やりたいことを聞かれたとき、「○○です」と答えられるよう、普段からしっかり考えておくことが大事。
【ルール4】オフィスカジュアルでも、「きれいめ」が信頼される
服装はその人の第一印象を左右する。「安心して仕事を任せられる人と思わせるには、TPOを踏まえた服装を意識。役職者が出席する会議や外部との打ち合わせには、相手に合わせ、カッチリした雰囲気の服装を心がけて」。
<明日からできること>ジャケットを1枚オフィスにキープ
どんな服装にも合わせやすいシンプルなジャケットを1枚常備しておけば、とっさの場面でも慌てない。
【ルール5】「結論から分かりやすく」。話し方のトレーニングは必須
話が長く分かりづらい、結論に達するまでに話があちこちに飛ぶ……。当てはまる人は要注意! 「ビジネス上の会話で重要なのは、結論や要点が伝わること。上司への報告は結論からが鉄則です」。
<明日からできること>聞かれたことに端的に答えるよう意識して話す
常に「相手が聞きたいことにきちんと答えられているか」を意識しながら会話をしよう。
【ルール6】社内外で役職が上の人との会話は「本の話題」が鉄板
「役職が上の人との会話で、何を話していいか分からない場面では、最近読んだ本を聞いてみて。実際に読んで感想をフィードバックすれば、印象もアップ。勉強になるので、自分のスキルアップにも有効です」
<明日からできること>ジャンルを問わず、売れている本を買って読む
日ごろから話題の本や映画をチェックしておくと会話の糸口が見つけやすく、どんな人とも雑談できる。
【ルール7】イラッとしても文句は封印。言いたいことは必ず「提案型」で
時には「おかしい」「間違っている」と感じることも。そんなとき、文句や不満をぶつけるだけでは、ただの面倒くさい人に。「『課題は○○で、こうすればよくなると思います』など、提案型で伝えると意見が通りやすい」。
<明日からできること>不満に対する解決策をノートに書き出す
不満や疑問が生まれたら、まずはノートに書き出し、解決策まで考えると上司に伝える際、スムーズに行く。
【ルール8】メールや社内文書も誤字脱字がないのが当たり前に
「チームで働く以上、上司の時間をムダにしないことも部下の役割。文書を見せる前には、必ず誤字脱字がないか最終確認を行って。ミスのない仕事ぶりは信頼につながり、チャンスが回ってくる可能性も!」
<明日からできること>メールや書類は出す前に1回、目を通す
伝わりづらい文章になっていないか、心の中で声を出して読んでみるのも有効な手段。ミスゼロを目指そう。
【ルール9】「今のままでいい」という考えを捨て、常にスキルアップに努める
現状維持で仕事人生を全うできる時代は、すでに過去のもの。「この先、AIに仕事を奪われないためにも、常に成長してスキルアップしていくことが大事。必要とされる人でいたほうが、組織の中での居心地もいいはず」。
<明日からできること>いつもの業務で改善できることがないか探す
いきなり大きなことをしようとせず、まずは身近な業務のなかで改善できるものから手をつけて。
【ルール10】育休期間中も情報収集やスキルアップは欠かさない
これから育休を取る人は、長く職場から離れていると"浦島太郎"状態になることも。「復職後、仕事についていけず自分がつらいのはもちろん、チームとして働くため、周りも不安に。スムーズに仕事に戻れるように、育休中でも情報収集とスキルアップは忘れずに」。
この人に聞きました
アルファ・アソシエイツ代表取締役。英国でMBAを取得した、初の日本人女性。外資系証券日本支社などを経て、2008年から現職。政府の委員も歴任。企業の女性活躍のコンサルティング業務なども手がける。
(取材・文 西尾英子)
[日経ウーマン 2019年6月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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