減塩・減量・運動 血圧対策で最も早く効果が出るのは
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)減塩
(2)運動
(3)減量
1週間の減塩で血圧は下がり始める
正解は、(1)減塩です。
高血圧の人は国内に4300万人もいるといわれ、50代以上の男性では5割近くが該当します。健康診断で「血圧が高い!」と指摘されている人は少なくないでしょう。
では、高血圧の対策として、具体的に何から始めるべきなのでしょうか。「ミスター血圧」の異名を持つ前東京女子医科大学東医療センター内科教授・愛知医科大学客員教授の渡辺尚彦さんは、「まず実践してほしいのは減塩です」と言い切ります。渡辺さんはこれまで30万人以上の患者に減塩指導を行ってきた経歴を持つ医師で、自らも20年以上の減塩生活を送り、その効果を経験してきました。
一般に、血圧を下げるために「生活習慣」の改善が大事なことはよく知られています。日経Goodayでもこれまで紹介してきたように、「減塩」「運動」「減量」(それに「節酒」)などが代表的な対策となります。実際、渡辺さんも「減塩」「運動」「減量」(それに「節酒」)を患者に指導しているそうですが、その中でも一番に減塩を勧める理由は、効果が高く、効果が出るのも早いからです。
「運動をすれば血圧は下がりますから、運動もぜひ実行してほしいのですが、運動をしても、翌日すぐに効果が見えるわけではありません。効果が表れるまで少々時間がかかるのは、減量も同様です。減塩の場合は、1週間もあれば血圧は下がってきます。効果が早く見えるから、『もっとやってみよう!』とやる気も出やすい」と渡辺さんは話します。
日本人が1日に摂取する塩分量は、男性は8g未満、女性は7g未満が理想とされ、高血圧の場合はさらに少ない6g未満が推奨されています。しかし、現状は、男性10.8g、女性9.2gと、目標に遠く及びません[注1]。
「ほとんどの日本人は、塩分のとりすぎと考えられます。しかし、悲観することはありません。塩分摂取が多いぶん、血圧が下がる余地があるということでもあります」(渡辺さん)
渡辺さんは、減塩に取り組むなら、「朝食がお勧め」だと話します。なぜなら、朝は、血圧を上げるホルモン「アルドステロン」が多く分泌されるからだそうです。「アルドステロンは塩分が腎臓で再吸収されるのを促す働きがあり、朝食で多量の塩分を摂取すれば、体内の塩分が昼も夜も保持されてしまいます。朝食で塩分を抑えると、降圧効果を高めることができます。例えば、朝食は塩分の低いグラノーラなどにするのもお勧めです」(渡辺さん)
[注1]厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」(2015年版)、厚生労働省 「国民健康・栄養調査結果の概要」(2016年)
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2019年09月30日付記事を再構成]
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