日産に聞く「なぜ手放し運転が可能になったのか」

大埜 旅客機に近いです。旅客機も2系統、必要なところは3系統用意され、片側のエンジンが壊れても飛び続けられる性能を備えていたりしますから。プロパイロット2.0も、ドライバーが操作に戻れるまでの時間、どこかが壊れても絶対に大丈夫なように設計されてます。

小沢 その分、価格が高くなっちゃいそうですが(笑)。しかし、今後、完全自動運転に到達するまでにどこをどう突きつめていくんでしょうか。よく自動車メーカーが「2020年代中には!」とか、テスラのイーロン・マスクなんかは「2020年には完全自動運転を」などと言いますが、その点今回の複数系統で安全を確保する話は非常にわかりやすい。

大埜 そこは難しいですが、今はあくまでも運転支援技術であって、やはり限界があるんですね。例えば、隣のレーンから突然クルマがぶつかってくるような場合は難しい。人だったらなんとなく気配を察し、ちょっとブレーキを踏んで車間を開けるようなことができるかもしれないですが、現状センシングには限界があって、対応できないケースが出てくる。

小沢 そんなの人間でも無理ですよ。よほどの第六感があるようなドライバーでもない限り。

大埜 とはいえ最低でも人間のドライバーと同じ安全性は確保しないといけないと考えると、まだそこまで到達できていないシーンが残っているので。

小沢 少なくとも人を超える反射神経であり、ドライビング能力を備えないと完全自動運転は実現できないと。

大埜 それから法律であり、認可の問題ですね。

小沢 それがありました。技術はもちろん、たとえ技術が達成できても倫理と法律の問題が残ってる。これからがまた大変なんですね、自動運転は。

左が日産自動車電子技術・システム技術開発本部 AD/ADAS先行技術開発部 ECU開発グループ主担の大埜健(おおのたけし)氏。右がInfiniti製品開発本部 Infiniti製品開発部 第一プロジェクト統括グループ主担の伊藤博文(いとうひろふみ)氏
小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、「ベストカー」「時計Begin」「MonoMax」「夕刊フジ」「週刊プレイボーイ」、不定期で「carview!」「VividCar」などに寄稿。著書に「クルマ界のすごい12人」(新潮新書)「車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本」(宝島社)など。愛車はロールス・ロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

(編集協力 北川雅恵)

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