日産に聞く「なぜ手放し運転が可能になったのか」

小沢 道路交通法第70条に「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とあるだけで、具体的規定はないんですよね。

大埜 よって今回はハンズオフが可能になりましたが、お客様自らが周囲の安全に注意して使っていただくことにもまったく変わりはありません。

小沢 では、なぜ今までできなかったんでしょう? 今までに比べてレーンキープを1万回に1回しか失敗しなくなったとか、100万回に1回しか失敗しないみたいな話じゃないですよね。

大埜 確率ではありません。大きなポイントは、車線のど真ん中を自動で走ったときに安心できるかの性能です。そうでなければ、そもそもハンズオフする気になれません。もう一つは地味な部分ですけど、システムとしてのバックアップ性能。ハンズオフ時にどこか1カ所が壊れてもいいように二重の設計がしてあるんです。

小沢 なるほど。純粋に正確で感性に合った運転支援性能と、同時にバックアップ性能ということですね。それはカメラとミリ波レーダー(雨や雪など耐環境性に優れ情報伝送容量が大きいレーダー)で二重に回りを見ているという意味ですか。それとも3Dマップで見ていると同時に、GPSでも見ているということですか。

大埜 まず3D高精度地図をバックアップとして使っていますし、運転支援機能を動かしているECU(Electronic Control Unit 電子制御ユニット)や、ソフトウエアが入ってるコントローラーも二重になっていて、どちらかが壊れても替えが効く構造になっています。

小沢 いわゆる冗長性(必要最低限に加えて余分や重複がある状態)ってヤツですね。

「プロパイロット2.0」を搭載する新型スカイライン。ハンズオフ時にどこかが壊れた場合に備え、二重の設計がされているという

設計思想は旅客機に近い

大埜 そうです。特にスカイラインの場合、もともとハンドルがステア・バイ・ワイヤ(従来の機械式制御に代わり、機械的仕事を電子制御で行うシステム)なので、ECUが3つ付いていて、どこかが壊れても確実に動くようになっています。バッテリーに関しても今回はハイブリッド車なので、電源の供給に使うコンバーターが壊れてもバックアップが効くようにサブバッテリーが備わってます。

小沢 飛行機とかロケットみたいな発想で作ってるんですね。

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