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日産に聞く「なぜ手放し運転が可能になったのか」

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高速道路での「手放し」運転を実現した日産自動車の「プロパイロット2.0」が、スカイラインに搭載され注目されている。市販車に「手放し運転」を導入するにあたり、どんな課題があったのか。河口湖での新型スカイライン試乗会で、小沢コージ氏が担当エンジニアの大埜健さん、伊藤博文さんに話を聞いた。

レーンをキープする性能はピカイチ

小沢コージ(以下、小沢) 今回、ようやくスカイラインで試せたプロパイロット2.0ですが、やはりシビれます。まだ空いてる中央道の河口湖線でしか試せていませんが、高速道路での両手放し運転はマジですごい(※)。これぞイメージ通りのプロパイロット! いよいよ自動運転の世界が一歩近づいてきたような。

※1 プロパイロット2.0が作動する条件は「3D高精度地図データがカバーしている高速道路区間のみ」「制限速度内であること」の2点。

大埜健(以下、大埜) ありがとうございます。実はハンズオフ(両手を放しての運転)自体はすでに米国でGM傘下のキャデラックが「スーパークルーズ」で実現しています。それと国内でもBMWがこの夏あたりから時速60キロ以下で実現していて。

小沢 確かにそうでしたね。

大埜 とはいえ、レーンをキープする性能は現在プロパイロット2.0がピカイチで、車線のド真ん中をビシッと走っていくんです。その性能はどこにも負けてないと思います。

小沢 まさしくその通りで、乗っていて怖さが全然ないのに驚きました。まだ1時間弱しか試せていないんですが。

伊藤博文 それからGMは本当に単一車線のハンズオフ機能だけで、プロパイロット2.0のように総合的に支援するシステムにはなっていません。車線変更の支援やナビに連動した機能はないので。

小沢 ということはやはりプロパイロット2.0にはアドバンテージがあると。

大埜 独自の3D高精度地図データが付いているので、高速で3車線あれば右、中央、左と車線が指定できますし、目的地を入れればナビと連動して自動でルート走行ができ、車線変更や分岐支援も可能ですから。

小沢 3D地図データがカバーする空いてる高速道路ならほとんどハンズオフのまま行けるし、ジャンクション合流も追い越しもハンドルに手を添えているだけでできると。ただし、それでも今回はレベル2、あくまでも運転支援技術であって運転の責任は相変わらずドライバーにあるんですよね。

大埜 その通りです。カメラが監視していてドライバーが前方から目を離すと警告が出ます。決して安全運転の義務から解放されたわけではありません。

バックアップも装備

小沢 では今回具体的になぜハンズオフが可能になったんでしょうか。そもそも法的な縛りなどはなかった?

大埜 その通りです。もともと道路交通法(道交法)には、具体的に「ハンドルから手を放して運転していけない」とは明記されておりません。「安全運転の義務」が定義されているだけです。

小沢 道路交通法第70条に「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とあるだけで、具体的規定はないんですよね。

大埜 よって今回はハンズオフが可能になりましたが、お客様自らが周囲の安全に注意して使っていただくことにもまったく変わりはありません。

小沢 では、なぜ今までできなかったんでしょう? 今までに比べてレーンキープを1万回に1回しか失敗しなくなったとか、100万回に1回しか失敗しないみたいな話じゃないですよね。

大埜 確率ではありません。大きなポイントは、車線のど真ん中を自動で走ったときに安心できるかの性能です。そうでなければ、そもそもハンズオフする気になれません。もう一つは地味な部分ですけど、システムとしてのバックアップ性能。ハンズオフ時にどこか1カ所が壊れてもいいように二重の設計がしてあるんです。

小沢 なるほど。純粋に正確で感性に合った運転支援性能と、同時にバックアップ性能ということですね。それはカメラとミリ波レーダー(雨や雪など耐環境性に優れ情報伝送容量が大きいレーダー)で二重に回りを見ているという意味ですか。それとも3Dマップで見ていると同時に、GPSでも見ているということですか。

大埜 まず3D高精度地図をバックアップとして使っていますし、運転支援機能を動かしているECU(Electronic Control Unit 電子制御ユニット)や、ソフトウエアが入ってるコントローラーも二重になっていて、どちらかが壊れても替えが効く構造になっています。

小沢 いわゆる冗長性(必要最低限に加えて余分や重複がある状態)ってヤツですね。

設計思想は旅客機に近い

大埜 そうです。特にスカイラインの場合、もともとハンドルがステア・バイ・ワイヤ(従来の機械式制御に代わり、機械的仕事を電子制御で行うシステム)なので、ECUが3つ付いていて、どこかが壊れても確実に動くようになっています。バッテリーに関しても今回はハイブリッド車なので、電源の供給に使うコンバーターが壊れてもバックアップが効くようにサブバッテリーが備わってます。

小沢 飛行機とかロケットみたいな発想で作ってるんですね。

大埜 旅客機に近いです。旅客機も2系統、必要なところは3系統用意され、片側のエンジンが壊れても飛び続けられる性能を備えていたりしますから。プロパイロット2.0も、ドライバーが操作に戻れるまでの時間、どこかが壊れても絶対に大丈夫なように設計されてます。

小沢 その分、価格が高くなっちゃいそうですが(笑)。しかし、今後、完全自動運転に到達するまでにどこをどう突きつめていくんでしょうか。よく自動車メーカーが「2020年代中には!」とか、テスラのイーロン・マスクなんかは「2020年には完全自動運転を」などと言いますが、その点今回の複数系統で安全を確保する話は非常にわかりやすい。

大埜 そこは難しいですが、今はあくまでも運転支援技術であって、やはり限界があるんですね。例えば、隣のレーンから突然クルマがぶつかってくるような場合は難しい。人だったらなんとなく気配を察し、ちょっとブレーキを踏んで車間を開けるようなことができるかもしれないですが、現状センシングには限界があって、対応できないケースが出てくる。

小沢 そんなの人間でも無理ですよ。よほどの第六感があるようなドライバーでもない限り。

大埜 とはいえ最低でも人間のドライバーと同じ安全性は確保しないといけないと考えると、まだそこまで到達できていないシーンが残っているので。

小沢 少なくとも人を超える反射神経であり、ドライビング能力を備えないと完全自動運転は実現できないと。

大埜 それから法律であり、認可の問題ですね。

小沢 それがありました。技術はもちろん、たとえ技術が達成できても倫理と法律の問題が残ってる。これからがまた大変なんですね、自動運転は。

小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、「ベストカー」「時計Begin」「MonoMax」「夕刊フジ」「週刊プレイボーイ」、不定期で「carview!」「VividCar」などに寄稿。著書に「クルマ界のすごい12人」(新潮新書)「車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本」(宝島社)など。愛車はロールス・ロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

(編集協力 北川雅恵)

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